定着は“働きやすさ”だけでなく“成長実感”にかかっている
職場の雰囲気が良く、待遇が整っていても、スタッフが「ここでの将来が見えない」と感じた瞬間、転職の選択肢が浮かびます。
今、求められているのは“居場所”と“成長場所”の両立です。医療機関が明確なキャリア支援を設計することは、スタッフの定着だけでなく、ブランド価値の向上にも直結します。
成長支援を“ブランド価値”として設計する
1. キャリアパスの段階を可視化する
漠然と「続けていれば成長する」ではなく、「今ここにいて、次はこういう役割を目指せる」という道筋を明確にすることが重要です。
役職だけでなく、専門性・教育力・対人スキルなど複数軸で設計すると、多様な個性を活かせます。
2. 定期面談でキャリアビジョンをすり合わせる
半年〜1年ごとに「今後どんな働き方をしたいか」「何に挑戦したいか」を言語化する面談を設けます。
個々の希望に耳を傾け、育成計画と結びつけることで、“ここで働き続ける理由”を明確にできます。
3. 成長実感を得るための評価とフィードバックの工夫
月1回のフィードバックや1on1面談で、「以前より〇〇ができるようになったね」と小さな成長を言語化し、本人に自覚させることがモチベーションにつながります。
「期待していること」より「できるようになったこと」にフォーカスしたフィードバックが、前向きなエネルギーを生みます。
具体的なキャリア支援の仕組み例
・スキルチェックシートを年1回記入(自己評価+上司評価)
・“教育スタッフ枠”を設け、教える側へのキャリアも提示
・接遇力や共感力など“定量化しづらい力”の育成カリキュラムを作成
・「3年後どうなっていたいか?」ワークシートの活用
スタッフの“成長した実感”がブランドを語り出す
「今まで緊張していた受付が、今は患者さんと自然に笑顔で話せている」
「以前は忙しくて心が折れそうだったけど、今は新人を支える側に立っている」
こうしたスタッフの声は、求職者や患者にとっても「この職場は人を大切に育てている」と伝える無言のブランディングになります。
まとめ:キャリア設計は“離れたくない職場”をつくるブランディング
長く働くには、“続ける意味”が必要です。
スタッフ一人ひとりの可能性と向き合い、成長の道を共に描くことが、組織の信頼とブランドを育てる鍵となります。成長支援は、医療機関の魅力を内側から輝かせるブランド戦略のひとつなのです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。