ブランディングの“浸透しない壁”をどう越えるか
医療機関でブランドづくりを進めても、「理念は知っているけれど現場では意識されていない」「いい取り組みが続かない」といった課題に直面することは少なくありません。
それは、“院長や管理部門だけが動いている”という構造が原因です。
ブランドを“現場のことば”に落とし込み、スタッフが当事者として参加する場が必要です。
ブランディング委員会とは、現場と理念をつなぐ“翻訳機”である
ブランディング委員会は、理念や行動指針を机上のスローガンで終わらせず、日々の現場で機能させるための中間支点です。
現場スタッフが参加することで、「理念をどう行動に変えるか」「この職場らしさって何だろう?」を自ら問い、考え、実践していく場になります。
医療機関にブランディング委員会を設ける3つの目的
1. 組織の価値観を“言語化・行動化”する場をつくる
抽象的な理念やビジョンを、患者対応・チーム連携・日々の判断軸にどう活かすかを、スタッフの視点で考えることで、より具体的な行動へと変換できます。
2. スタッフ主導の“内側からの文化づくり”を促す
「上からの指示」ではなく、「自分たちのアイデアで動かす」経験は、組織に主体性と連帯感を育みます。
小さな改善や提案が“職場らしさ”を形成する力になります。
3. 院内ブランディング施策の継続性・自走力を担保する
短期的な取り組みで終わらず、理念浸透・接遇強化・評価連動など多面的に展開できるようになります。
スタッフが“仕掛け人”になれば、ブランディングは続くものになります。
ブランディング委員会設置の初期ステップ(概要)
・院長・マネジメント層からの明確な目的共有
・スタッフ数名による“立ち上げメンバー”の選出(役職横断)
・月1回程度の定例会議の実施
・取り組みを全体会や社内掲示で発信(参加できなかった人にも共有)
まとめ:理念は共有するだけでなく“翻訳・運用”されて初めて根づく
ブランディング委員会の目的は、理念を“共通語”から“共通行動”へと進化させることです。
スタッフが主導するブランディング活動は、現場の誇りを育み、組織全体の一体感を強める力を持っています。医療機関にこそ、現場から育つブランディングの土壌が必要です。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。