スローガンは「作る」より「見つける」もの
施設の理念や想いを短く象徴する「スローガン」は、ブランディングや採用広報など様々な場面で活躍します。ですが、ただ上層部が一方的に決めたスローガンでは、スタッフの共感を得られず形骸化してしまうことも少なくありません。
そこで注目されているのが、「現場の言葉」からスローガンを紡ぎ出す手法です。日々利用者と向き合っているスタッフの声を丁寧に拾い、理念と現実をつなげた“共感の言葉”として磨き上げていくことが、スローガンを生きた言葉に変えるカギとなります。
現場の言葉からスローガンをつくるステップとは?
スローガンを「上から決める」のではなく「一緒に見つける」姿勢が大切です。以下のステップで、スタッフ主体のスローガンづくりが実現できます。
・ヒアリング:スタッフの“日常の声”を拾う
日々のケアや利用者とのやり取りの中で印象に残った言葉、やりがいを感じる瞬間などを聞き取ります。座談会形式や個別インタビューなどが有効です。
・抽出・分類:共通する価値観や感情を整理する
ヒアリングの中から「大切にしていること」や「働く意味」に関わる言葉を抽出し、カテゴリごとに分類します。理念や行動指針と照らし合わせながら整理すると、方向性が見えやすくなります。
・言葉の磨き上げ:短く・覚えやすく・共感できる言葉へ
抽出されたフレーズの中から複数案を作成し、職員アンケートや投票で絞り込みます。「口にしやすいか」「誰が聞いても意味が伝わるか」を基準にブラッシュアップしましょう。
スローガンは“理念を現場に浸透させる媒体”になる
スタッフの声をベースに作られたスローガンは、単なるコピーではなく、「私たちがどう在りたいか」を示すコンパスのような存在になります。
特に効果を発揮するのが、以下のような場面です。
・新人研修時の共有で理念浸透を促進
・採用時に施設の魅力をわかりやすく伝える材料に
・朝礼や会議での「合言葉」として意識を統一するツールに
また、施設内に掲示するだけでなく、ホームページやSNS、パンフレット等で一貫して発信することで、外部に対しても「施設のらしさ」が伝わりやすくなります。
まとめ:スタッフの言葉こそ、施設の本当の“らしさ”
スローガンは、理念の要約であると同時に、現場のリアルな想いの結晶です。経営層が一方的に決めるのではなく、現場の声を丁寧に拾い上げることで、共感と誇りを育む「共創型ブランディング」が実現します。言葉に力を持たせたい時こそ、現場に耳を傾けることが大切です。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。