“沈黙”が、不安を何倍にもしてしまう
地震や豪雨などの災害時、家族が最も不安に感じるのは「何も情報が届かないこと」です。
介護施設の中で、職員が懸命に動いていても、その様子が家族に伝わらなければ、不信や焦りにつながる可能性もあります。
逆に、「今このように対応しています」「入居者の皆さまは無事です」といった短くても誠実な情報発信が、家族に安心感と信頼をもたらすのです。
本記事では、災害時の“家族広報”を施設価値としてとらえ、平時から整えておきたい発信体制と工夫をご紹介します。
「家族が安心できる施設広報」をつくるポイント
01.“誰が、何を、誰に、どの順で”発信するかを決めておく
・家族への一次連絡(状況報告)、二次連絡(安否確認)、三次連絡(復旧・再開情報)のフェーズで設計
・優先的に連絡すべき家族リストや緊急連絡ルートを整理しておく
・電話だけでなくメール、LINE、専用掲示板など、複数の手段を準備
02.“発信役”と“承認フロー”を明確にする
・「誰が、どの内容を、どこに、どうやって出すのか」が事前に決まっていないと混乱の元に
・広報役を複数人選任し、情報の承認ルート(例:施設長確認→発信)もルール化
・印刷用/SNS用などテンプレートを作っておくと即時対応がしやすい
03.SNS・Webサイト・館内掲示を平時から運用し“使い慣れておく”
・災害時だけ運用するのではなく、日頃から「日常の様子」「お知らせ」を投稿する習慣をつける
・投稿に慣れていると、非常時でも「何を、どんな言葉で伝えればよいか」が明確になる
・ご家族にも「災害時はここをチェックしてください」と伝えておく
“つながりを感じられる施設”が信頼される理由
・「無事です」のひと言が、何よりの支えになる
→ 数行でも「見えていない安心感」が届くことで、家族は冷静さを取り戻せる
・発信力=対応力として評価されるようになる
→ 「この施設はしっかりしている」「任せられる」と思ってもらえる機会に
・他の施設との差別化ポイントにもなる
→ 災害時に丁寧な発信をしている施設は、広報や採用でも高評価を得やすい
施設広報のよくある課題と改善のヒント
・「誰が発信するかが決まっておらず、混乱する」
→ 広報担当を役職・職種問わず“チーム制”で整備し、複数人が対応できるようにする
・「誤報やトラブルが怖くて、何も発信できない」
→ あらかじめ定型文を用意(例:「現在状況を確認中です。職員・入居者の安全確保を最優先としています」など)
・「SNSをやっていない家族もいて、情報格差が出る」
→ 紙ベースでの掲示物、録音による電話対応(自動応答)、町内会経由での広報などを併用する
まとめ:“届く施設広報”が、家族の不安を小さくする
災害時、施設がどんなに頑張っていても、その姿が見えなければ安心は得られません。
大切なのは、“何をしているか”と同じくらい、“どう伝えるか”です。
普段から「つながっている」と感じてもらえる広報体制を整えておくことで、災害時にも施設への信頼は揺らぎません。
施設広報=信頼の橋渡し。今こそ“伝える力”を備えましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
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パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。