「あるはず」より、「あると見える」が安心を生む
備蓄品、非常食、水、防寒具──介護施設では災害時に備えた物資の準備が進められています。
しかし、これらの“備え”は、職員・入居者・家族・地域にとって「見えない安心」になってはいないでしょうか?
本当に安心してもらうためには、「どれだけ備えているか」ではなく、「どのように備えているかをどう伝えているか」が問われます。
本記事では、備蓄の“見える化”によって施設の信頼力を高めるためのアイデアと実践の工夫をご紹介します。
安心を生む“備えの見える化”のポイント
01.職員・入居者・家族それぞれに“見せ方”を工夫する
・職員には「どこに何があるか」「どのように使うか」をマップやリストで共有
・入居者や家族には「こんな備えがありますよ」という安心を、ビジュアルと一緒に発信
・避難袋や非常食の一部を展示・体験してもらう“防災週間”イベントも効果的
02.施設内に“備蓄スポット”を明示する
・備蓄品保管場所の扉にラベルや案内板を設置し、いざというときに迷わないように
・誰が見ても分かる配置マップを各フロアに掲示
・「見せる収納」にすることで、家族や来訪者にも安心が伝わる
03.Webサイト・SNS・パンフレットで“可視化”する
・「当施設の防災対策」として、備蓄の種類や数、更新頻度などを明記したページを用意
・防災関連の投稿に、実際の写真を添えて「こんな取り組みをしています」と紹介
・見学時や入居案内時にも、備えの説明ができるよう職員マニュアルを整備
“備えの可視化”がもたらす施設へのメリット
・家族に「任せて安心」と思ってもらえる
→ 入居の最終判断において、「災害時にも安心して任せられるか」は重要な要素
・地域住民・関係機関からの信頼が得られる
→ 協力体制を築く際に「きちんと備えている施設」として評価されやすくなる
・職員の意識と対応力も高まる
→ 備えの所在と内容を知っているだけで、災害時の対応スピードと安心感が格段に違う
備蓄のよくある課題と改善策
・「備蓄品がどこにあるのか、職員もあやふや」
→ 配置図+定期点検表+ロッカーや棚のラベル表示を組み合わせて運用する
・「Webサイトやパンフレットで防災について触れていない」
→ 一覧表や写真つきの紹介ページを追加するだけで“安心の見える化”が実現できる
・「定期点検や入れ替えが後回しになりがち」
→ 月ごとに点検箇所を分ける「ローテーション管理」方式で負担を軽減
まとめ:“伝わる備え”が信頼のスタンダードに
備蓄は施設の中にあるものですが、本当に大切なのは「その存在が安心につながっているか」という点です。
ご家族、職員、地域の方々に「この施設はちゃんと備えている」と感じてもらえるように、“見せる防災”を意識して発信しましょう。
「備えていること」そのものが、ブランディングになる時代です。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。