「連絡がないのが元気な証拠」は、もう通じない
高齢者施設に入居する家族を持つ方にとって、日々の様子が「見えない」ことは、想像以上に大きな不安です。
とくに、訪問制限がある状況や遠方に住んでいる家族にとっては、「最近のようす」「急変時の対応」が即時に分かるかどうかが、施設への信頼を大きく左右します。
そんなとき、見守りセンサーや連絡アプリ、記録の共有など“つながりを支えるテクノロジー”が、家族との絆をつなぎ直す力になります。
本記事では、“家族との距離を縮めるICT活用法”をブランディング視点で解説します。
家族の安心をつくるテクノロジー活用のポイント
01.“日常の小さな情報”が、安心を生む
・体調の変化、レクリエーションへの参加、食事の様子などを短いコメントや写真で共有するだけでも、信頼感が増す
・職員にとっては当たり前の出来事も、家族にとってはかけがえのない情報になる
・連絡アプリやWebポータルを活用すれば、定期報告が無理なく継続できる
02.見守りセンサーで“見えない安心”を支える
・夜間の徘徊、転倒、起き上がりなどを検知する見守り機器により、「すぐに対応できる環境」を可視化
・介護職員の負担軽減にもつながり、結果として家族対応にも余裕が生まれる
・「何かあったら、すぐ対応してくれる体制がある」と伝えることが、信頼の大きな要素になる
03.“緊急時の連絡体制”をICTで整備する
・電話だけに頼らず、メール・アプリ通知・録音メッセージなどを組み合わせることで、情報格差を防ぐ
・「この情報はこの手段で届く」と事前に伝えておくことで、家族側の不安も軽減できる
・既読確認や返信機能を活用すれば、双方向のやりとりによって“つながっている実感”が強まる
家族とのICT連携が、施設にもたらす効果
・「ここに任せてよかった」と思ってもらえる
→ ただのケア記録ではなく、“心が届くやり取り”が、信頼を築く鍵に
・職員の負担も軽減し、現場が安定する
→ 連絡内容のバラつきが減り、「対応が遅い」「伝わっていない」というクレームリスクが軽減
・“伝える力”が施設のブランディングになる
→ SNSやパンフレットでの紹介にも活用でき、「家族との信頼構築に積極的な施設」として差別化できる
ICT連携のよくある課題とその対応策
・「職員の手間が増えるのでは…?」
→ 定型文テンプレや写真自動整理機能などを活用して、“無理なく続けられる運用”に
・「家族がアプリを使いこなせるか心配」
→ 導入時に簡単な使い方ガイドを渡す+不安な方には紙での補完も検討
・「ICT導入が“事務的”に見られるのでは」
→ “安心を届けるために使っている”というメッセージを明確に発信し、温かみある文面・写真で補う
まとめ:つながる力が、選ばれる施設の条件になる
介護の現場では、職員・入居者・家族という“3者の信頼関係”がケアの質を大きく左右します。
ICTは、その関係を強く結び直す“コミュニケーションの橋”。
「ちゃんと見てくれている」「ちゃんと伝えてくれる」──そんな安心を届ける力が、施設の信頼とブランドを育てていきます。
テクノロジーを、つながりの“あたたかい道具”として活かしていきましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。