“ありがとう”が生まれる関係性は、つくれる
介護施設にとって、ご家族との関係性は日々の業務のなかで積み上がっていくものです。
「いつもありがとうございます」「昨日の様子を教えてくださって助かりました」――
そんな一言が交わせる関係性は、施設の雰囲気や職員の意欲をも変えていく力を持っています。
本記事では、家族と職員の間に“ありがとう”が行き交う関係性を育てるための仕掛けと、そのブランディング効果をご紹介します。
“ありがとうの循環”を生む3つの仕掛け
01.職員の日常の働きを“見える形”で伝える
・日誌や連絡帳に「○○さんがこんな工夫をしていました」と、名前を添えて書く
・写真共有の際にも、「この声かけ、すごく素敵でした!」とコメントを加える
・“誰がどんなふうに関わったか”が伝わることで、ご家族からの「ありがとう」の言葉が自然に生まれる
02.“お礼を伝える場”を設けて文化にする
・月1回の「ありがとう掲示板」や“感謝メッセージカード”を家族から職員へ届けられる仕組み
・「家族の声ノート」や“感謝メール”の紹介コーナーをスタッフルームに設置して、共有
・感謝の言葉が可視化されることで、職員のモチベーション向上・離職防止にもつながる
03.職員側からも“ありがとう”を届ける習慣を持つ
・面会や電話の最後に「いつも○○様が丁寧に関わってくださり、助かっています」と一言伝える
・入所中だけでなく、退所・看取り後にも“手紙”や“メッセージカード”を送る文化を
・“感謝される施設”は、同時に“感謝を届ける施設”であることが、信頼の本質になる
“感謝の関係性”が施設にもたらすメリット
・クレームが減り、建設的な対話が増える
→ 相手への理解やリスペクトがあることで、意見も“攻撃”ではなく“改善の提案”になる
・職員の仕事への誇りとやる気が育つ
→ 「ありがとう」の言葉が、評価や給与以上に心を満たす
・“応援される施設”として、紹介や協力が広がる
→ 感謝の気持ちが口コミ・紹介・地域での評価に自然とつながっていく
“ありがとう”の循環に向けたよくある課題と解決のヒント
・「家族の感謝が職員に伝わっていない」
→ 感謝メッセージの“翻訳役”を担う担当者を立てて、全体共有の場を設ける
・「職員が“当たり前”になってしまい感謝されにくい」
→ 日々の取り組みを施設発信(SNS、ニュースレター)で可視化し、理解と共感を促す
・「形式的な“ありがとう”になりがち」
→ 個別具体的なエピソードや文脈を添えた感謝が、“本物の信頼”を育てる鍵に
まとめ:“ありがとう”の循環は、信頼の文化をつくる
家族と職員が“支える側”と“任せる側”ではなく、“支え合う関係”でつながっていること。
そこに「ありがとう」が自然に行き交う空気が生まれたとき、施設は単なる介護の場ではなく、“信頼の共同体”になります。
施設の魅力は、設備やサービスだけではなく、人と人とのあたたかさの中にこそ宿る。
その小さな言葉の積み重ねが、“応援される施設”というブランドをつくっていきます。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。