「伝えたいこと」は、共感されてはじめて価値になる
診療科や医師紹介、アクセス情報、院内設備──
医療パンフレットに載っている情報は、どれも大切な内容です。
でも、それだけで「いい病院だ」とは思われない。
信頼され、選ばれる医療機関には、“共感されるパンフレット”があります。
つまり、「ここ、なんだか良さそう」「やさしい感じがする」――そんな“感情に触れる設計”があるのです。
本記事では、パンフレットを“共感形成ツール”として活かすための視点と工夫をお伝えします。
“共感設計”されたパンフレットに共通する3つの要素
01.“物語”がある
・理念や方針をただ書くのではなく、「なぜそれを大切にしているのか」というストーリーの流れがある
・例:「この町に開院して○年、私たちは地域のお年寄りと向き合ってきました」など、歴史やエピソードが語られている
・読む人が「うんうん、わかる」と感じる瞬間をつくることで、共感は始まる
02.“人の顔”が見える
・スタッフの写真やコメント、「休日の過ごし方」や「なぜ医療者を志したか」など、人となりがわかる工夫がある
・無機質な紹介よりも、「あ、この人に診てもらいたい」と感じさせるぬくもりの情報が信頼につながる
・特に小規模なクリニックや開業医では、“顔が見える”こと自体が差別化に
03.“読者とのつながり”を意識している
・よくある「当院のご案内」ではなく、「あなたにとってこう役立ちますよ」という語りかけの視点
・「初診時はご不安だと思いますが、ご安心ください」など、読者の気持ちに寄り添うトーン
・“説明”ではなく“対話”の感覚を持たせる構成で、共感を呼び込む
共感を設計するパンフレットの構成例(基本の流れ)
01.表紙+「私たちが大切にしていること」(理念のやさしい言葉化)
02.病院や診療所の“物語”紹介(創設の思い・地域との関係)
03.スタッフ紹介(人柄・写真・想いがにじむ構成)
04.診療科・特徴的な取り組み(やさしい言葉+イラスト・図解)
05.来院の流れ・Q&A(「わからない」を前提にした構成)
06.院長メッセージや手書きのひと言など、“最後に印象が残る要素”
パンフレット制作のよくある課題と改善のヒント
・「説明ばかりで“心に残らない”と言われる」
→ 情報提供だけでなく、“伝えたい想い”を軸に構成を組み直す
・「文章が堅くて読みづらい」
→ “話しかけるトーン”に変え、難しい言葉は吹き出しや注釈で補足を
・「スタッフの写真や名前を出したがらない」
→ まずは“イラスト”や“コメントのみ”から始めて、段階的に顔出しへ
まとめ:“共感の設計”が、信頼されるパンフレットを生む
医療機関のパンフレットは、単なる“広報資料”ではありません。
相手の感情に寄り添い、安心と信頼を届ける“関係づくりのメディア”です。
そのためには、ただ伝えるのではなく、「一緒に感じてもらう」ことを意識した設計が必要です。
“共感のある医療”は、“共感されるパンフレット”から始まります。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。