「機能説明」より、「気持ちによりそう設計」を
小児科や産婦人科の患者は、体のケアと同じくらい“心の安心”を求めて来院しています。
子どもの体調に不安を抱えた親、はじめての妊娠に戸惑う女性…。
そんな方々が手に取るパンフレットは、「この医院、大丈夫そう」「話を聞いてくれそう」――そんな“あたたかい印象”を届けることが何よりも大切です。
本記事では、小児科・産婦人科におけるパンフレット設計のポイントを、“安心・ぬくもり・親しみ”を届けるための視点から紹介します。
“感情によりそうパンフレット”をつくる3つの工夫
01.写真・色使い・フォントで「やさしい空気」をつくる
・明るく自然な光の写真、親子の笑顔、日常の風景などを盛り込み、“医療の場”という堅さを和らげる
・カラーはパステル系(ピンク・ミント・クリーム色など)で安心感と清潔感を両立
・フォントはやさしさを感じる“丸ゴシック”系で統一し、読みやすさと柔らかさを両立させる
02.「お母さん・お父さんへ」「はじめて妊娠された方へ」など、語りかける構成にする
・「当院の小児科では〜」ではなく、「お子さんの体調が心配なとき、まず頼れる場所でありたいと思っています」など、“状況に寄り添った語り口”を設計
・自己紹介ページでも、「子育て中のパパです」「出産を機にこの地域に根づきました」など、共感される一文を入れると信頼感が増す
03.よくある不安・質問を“言葉にして見せる”
・「赤ちゃんの咳、受診すべき?」「この時期にお薬を飲んでいいの?」など、“よくある不安”をあらかじめ見える化してQ&A構成にする
・親・妊婦自身が“自分の疑問を理解してくれている”と感じられる構成は、それだけで安心感を生む
・スタッフの手書きコメントや「私もそうでした」という一言が、ぐっと距離を縮める
おすすめ構成例:ぬくもりが伝わるパンフレット
・表紙:親子の写真+やさしいトーンのキャッチコピー
・1P:医院の想い・診療理念(「安心できる毎日を応援したい」など短くシンプルに)
・2〜3P:対象者別のご案内(例:「0歳〜3歳の子どもと暮らすご家族へ」「はじめて妊娠された方へ」)
・4P:診療内容・特徴(写真・アイコン・吹き出し解説などでやさしく)
・5P:Q&A/よくある相談/スタッフ紹介
・6P:アクセス・予約・SNS・LINEの案内
パンフレット制作のよくある課題とその改善ヒント
・「情報を載せすぎて“ぬくもり”が感じられない」
→ 文字量を減らし、“読み手の気持ちをイメージできる余白”を確保する
・「デザインが無難で印象に残らない」
→ スタッフの手書き文字やお子さんの絵など、“人の気配”が感じられる要素を差し込む
・「おしゃれにしすぎて、読みにくくなった」
→ 読みやすさと感情設計のバランスを優先。“可愛さより、伝わること”を第一に考える
まとめ:“安心したい気持ち”に応えるパンフレットを
小児科・産婦人科は、患者だけでなく家族の感情にも深くかかわる診療科です。
だからこそ、パンフレットにも“診療の内容”以上に“安心と親しみ”を伝える設計が求められます。
やさしい言葉、あたたかな写真、寄り添うトーン。
一枚のパンフレットに“ここなら大丈夫”が詰まっていれば、初診の不安はそっとほどけていきます。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。