Key Point
緩和ケア・終末期医療では“言葉のやさしさ”が信頼になる
ホーム成功の秘訣緩和ケア・終末期医療では“言葉のやさしさ”が信頼になる
Key Point
言葉の温度が、信頼の温度になる
最後の時間に寄り添うための、“伝え方”の工夫

情報より先に、気持ちが届くパンフレットを

緩和ケアや終末期医療を受ける方とそのご家族にとって、パンフレットは「知らない世界」への入口となります。
その入口が、“専門的すぎる”“冷たい印象”だと、読む前に心を閉ざしてしまうかもしれません。
だからこそ、緩和ケアのパンフレットに求められるのは、“言葉のやさしさ”と“心に寄り添う姿勢”です。

本記事では、終末期の患者や家族に安心感を届けるパンフレットの設計ポイントを紹介します。

“やさしい言葉”が信頼を育てるパンフレットの工夫

01.難しい言葉は、やわらかく、暮らしに近い表現に
・「疼痛管理」ではなく「痛みを和らげるケア」
・「ターミナル期」ではなく「最期の時間をご自宅で過ごす選択もできます」
・専門性を損なわずに、“今の生活に引き寄せた言い換え”が安心感につながる

02.ご本人ではなく、“ご家族が読む”場面も意識する
・パンフレットを最初に読むのは、患者本人ではなくご家族というケースも多い
・「どんなふうに過ごせるのか」「介護はどこまでサポートしてくれるのか」など、“家族の立場”に立った構成を取り入れる

03.“共感の言葉”を冒頭に添える
・「どこで最期を迎えるか、迷われている方へ」
・「在宅か病院か、考えは揺れるものです」
・そんな導入文があるだけで、「この人たちはわかってくれている」という信頼感が生まれる

緩和ケアパンフレットの構成例(心に届く流れ)

・表紙:落ち着いた色合い+静かな写真(自然風景や手を取り合うシーンなど)
・1P:「このパンフレットに込めた想い」+やさしいメッセージ
・2P:どんな支援が受けられるか(生活・医療・精神面・家族支援)
・3P:利用までの流れ(相談→面談→受け入れ)をイラスト付きで説明
・4P:よくある質問(「痛みが強いときは?」「家族は泊まれる?」など)
・5P:スタッフ紹介・ご家族の声・医師のコメント
・6P:アクセス・連絡先・ご相談窓口

パンフレットで伝えたい“想いの例文”

・「安心して“いま”を過ごすために、できることを一緒に考えます」
・「医療の説明よりも、あなたの気持ちを聞くことから始めたいと思っています」
・「不安があることは、自然なことです。誰にでも、初めてのことですから」

パンフレット制作のよくある課題と改善のヒント

・「誤解を招かないようにと、難しい表現ばかりになってしまう」
→ 医師が使う言葉と患者が理解できる言葉の“ちょうどいい中間”を探し、吹き出しや図解で補足する

・「施設としての姿勢が伝わりにくい」
→ 医療的な説明よりも、“どう寄り添うか”を語るストーリーや言葉を最初に置く

・「読む側の気持ちを考える余裕がなかった」
→ 制作段階で“誰がどんな気持ちでこのパンフレットを見るか”を想定し、ペルソナを明確にして言葉を選ぶ

まとめ:終末期こそ、“信頼される伝え方”が必要になる

緩和ケアのパンフレットは、治療の説明書ではなく、不安な気持ちにそっと寄り添う“心のツール”です。
読む人の気持ちに手を伸ばせる言葉を選び、安心と希望を伝える。
その小さな配慮が、「ここでお願いしよう」という最初の信頼につながります。

この記事の監修

ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。

東京港区のブランディングカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の13件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。