“何気なく手に取られるパンフレット”に、空気を届ける設計を
診察を待つ時間。少し緊張しながら、目に入るものに無意識で意識を向ける…。
そんなとき、待合室に置かれたパンフレットは、患者の気持ちをそっと支える“空気のような存在”になります。
単なる情報提供ではなく、「ここに来てよかった」と思わせる気づかいの設計こそ、院内ブランディングのカギです。
本記事では、待合室にふさわしい“やさしいパンフレット”の設計視点と使い方を紹介します。
待合室用パンフの役割と設計ポイント
01.内容は“説明”よりも“共感”を意識する
・例:「私たちが日々大切にしていること」
→ スタッフの想いや日常の一コマを紹介することで、「話しやすそう」「あたたかい医院だな」と感じてもらえる
・専門的な情報よりも、人柄・文化・考え方が伝わる内容が適している
02.表紙のトーンは“親しみ+安心”で
・「ご自由にお持ち帰りください」「院内でのひとときにどうぞ」など、声かけのような表現を加えると、手に取りやすくなる
・色合いはパステル系、写真は笑顔や穏やかな風景、タイトルは会話調にすると◎
03.読み切り型・テーマ別で“手に取りやすさ”を設計する
・「スタッフの1日」「よくある勘違いQ&A」「医師の好きな食べ物」など、ライトで読みやすい単発テーマを複数用意する
・一冊に詰め込まず、“1テーマ=1パンフレット”にすることで、読む負担が軽減される
おすすめパンフレットテーマ例(待合室設置向け)
・この医院が大切にしている5つのこと
・スタッフの“ちょっといい話”紹介
・診察の“ちょっと前に読んでほしい”豆知識
・高齢の方によくある症状とセルフケア
・季節の体調管理Q&A(花粉症・熱中症・インフルなど)
・「こんなとき、どうしたら?」患者さんの声に答えます
・“診察中に聞きづらいこと”をまとめたページ
パンフレットの置き方・使い方のポイント
・見やすく・手に取りやすく:
→ テーブル・窓口カウンター・お手洗い前など“目線の高さ”に配置
→ 表紙に「お気軽にお持ち帰りください」と一言添えると、心理的ハードルが下がる
・定期的に更新・入れ替え:
→ 内容が“動いている”ことが院内の活気につながる
→ 月1回のテーマ変更/スタッフ持ち回り執筆など、続けやすい体制づくりも大切
・Webと連携も:
→ 同じ内容をWebやLINEでも配信すると、外来後も関係が続く仕掛けになる
→ 二次利用しやすい設計にしておくと◎
パンフレット制作のよくある課題と改善のヒント
・「置いてあるけど、読まれていない」
→ タイトルが堅い/見た目が無機質/内容が“読む気にならない”ものになっていないかを再確認
・「せっかくつくっても管理されず散らかってしまう」
→ 管理・補充担当を明確にして“定位置+定数”を設けておくと、きれいな状態を保ちやすい
・「一部の人しか読まない」
→ テーマを分けて、高齢者向け・子育て世代向け・スタッフ紹介系など、多様な入り口をつくる
まとめ:“読むパンフレット”ではなく、“安心が届くパンフレット”へ
待合室は、患者にとって“診察前の静かな時間”。
そこで出会う一枚の紙が、医療への不安を和らげ、医院の印象を変えることもあります。
読む負担がなく、ふと気づきを与える――
そんな“気づかいパンフレット”は、ブランディングの細部を支える大切な存在です。
「ここはいい医院だな」と感じてもらえる空気を、紙でも届けていきましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。