“配って終わり”では、広報は機能しない
せっかく良いパンフレットを作っても、「使われない」「手に取られない」「効果が見えない」
――こうした声が医療機関からよく聞かれます。
原因の多くは、「作ったあと、どのように流通し、どう届くか」が設計されていないこと。
本記事では、パンフレットが“使われる”ために必要な、設置〜活用までの導線設計の視点を解説します。
パンフレット導線設計で押さえるべき3つのステップ
01.“どこに・誰の目に触れさせたいか”を明確にする
・院内(受付・待合・診察室・トイレ前)
・院外(薬局・福祉施設・地域イベント・学校・商店街)
・郵送(初診セット・健診案内・退院後フォロー)
→ ターゲット別に“想定接点”をリスト化して可視化すると、設置戦略が具体的になる
02.“どう手に取られ、どう活用されるか”まで想像する
・例1:「診察前に読む→先生に質問→Web予約につながる」
・例2:「家族に見せる→相談が生まれる→紹介来院がある」
→ パンフレットが“きっかけ”としてどう働くかを想定し、裏面や余白に導線(QR/連絡先/LINE)を組み込む
03.“配布・補充・声かけ”をオペレーションに組み込む
・「手渡しするタイミングを決める」→例:初診受付時/検査前/帰り際
・「パンフレット補充係を決める」→散らからない/忘れられない工夫
・「どう声をかけるか」→例:「お時間あるときにご覧ください」「よろしければご家族にもお渡しください」
導線設計の具体例(院内外別)
●院内
・受付カウンター:初診案内・診療の流れパンフレットを手渡し
・待合室テーブル:スタッフ紹介・季節のお知らせパンフレット
・診察室内:検査説明・疾患解説パンフレット(医師の声かけで手渡し)
・トイレ・自販機前:軽めのコラム系や地域情報パンフレット
●院外
・連携薬局:服薬指導+疾患Q&Aパンフレットを設置/補充協力依頼
・高齢者施設・ケアマネ事務所:訪問診療・連携パンフレット配布
・地域イベント:健康チェックと一緒にパンフレットを配布+LINE登録促進
・学校・商店:小児科・女性外来など、対象層が出入りする場所に
パンフレット制作のよくある課題と改善のヒント
・「置いたのに、手に取られない」
→ 表紙の言葉・写真が“自分ごとに感じにくい”かも。「〇〇でお困りの方へ」「こんな方に」など読み手視点のコピーを追加
・「院外で配る場所が見つからない」
→ まずは関係性のある施設・店舗にお願い+お礼カード・補充代行の仕組みを整えると広がりやすい
・「配布がスタッフ任せでバラバラ」
→ 「いつ・誰が・どこで・何を渡すか」の配布オペレーションマニュアル化が鍵
まとめ:“どう使われるか”を決めてこそ、パンフレットは活きる
パンフレットは、単なる配布物ではありません。
「どこで・誰に・どう届き・どんな行動につながるか」まで設計されたとき、初めて本当の効果を発揮します。
導線のひとつひとつに、“思い”と“仕組み”を込める。
その積み重ねが、患者や地域との関係を広げ、医院のブランドを静かに、でも確実に支えていくのです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。