“本人向け”ではなく、“家族に届くリーフレット”を設計する
在宅医療や訪問診療の相談は、多くの場合「ご家族」から始まります。
「通院が大変そう」「急に体調を崩しても動けないかも…」
そんな日常の中でふと生まれる不安に、やさしく寄り添い、選択肢を伝えるリーフレットが求められます。
特に1枚もののチラシは、“持ち帰って家族で話せる情報”として機能します。
本記事では、在宅医療の導入検討層に届く紙面設計のコツを紹介します。
家族向けチラシに求められる3つの要素
01.“悩み”から入るコピー設計
・例1:通院がしんどそうになってきた…そんなときは
・例2:夜間や休日のことを考えると、不安になることありませんか?
→ “このチラシ、うちのことかも”と思わせる冒頭コピーが重要
02.“難しくない・選べるもの”という印象設計
・「医師がご自宅に伺います」「診察だけでもOK」「途中でやめることも可能」など
・在宅医療=“重い選択”ではなく、“選べる生活スタイル”として伝える
03.“ご本人にどう話せばいいか”のヒントも添える
・例1:こんなふうに声をかけてみては?
・例2:最初は“話だけ聞いてみよう”でも構いません
→ 家族が背負いすぎないような“心のサポート”を紙面にも反映する
構成例|A4チラシ(介護家族向け在宅医療案内)
▢上部
・タイトル:「ご自宅で“いつもの医師”に診てもらえる選択肢」
・写真:落ち着いた自宅の風景/高齢の親と寄り添う家族
・キャッチコピー:「通う医療から、支える医療へ。」
▢中部
・在宅医療の特徴
→ 〇 医師が月に数回訪問/〇 緊急時も相談可能/〇 介護保険と併用できる
・「こんなとき、ご相談ください」例
→ 通院が難しくなった/退院後の生活が不安/がんの療養を自宅で…など
▢下部
・利用までの流れ(相談→説明→契約→訪問開始)
・相談窓口/電話番号/Webサイト/LINE QR
・「ご本人への説明サポートも行っています」の一言
チラシ設計で工夫すべきポイント
・医療的な表現より“暮らしの言葉”を使う
→ 「往診」より「医師が自宅に来てくれます」など
→ 家族が読んで「うちの親にも当てはまりそう」と思える言葉選びが肝
・1人で抱え込ませない構成にする
→ 「まずは相談だけでも」「一緒に考える時間をもちませんか?」など、家族支援を前提とした表現を意識
・「すぐに決めなくていい」ことを明記
→ 相談→説明→判断までの流れを丁寧に書くことで、“決断の不安”がやわらぐ
チラシ制作のよくある課題と改善のヒント
・「パンフはあるが、家族向けには重すぎる」
→ まずチラシで“入口の不安に応える”設計にし、必要があれば後でパンフレットを渡す構成が効果的
・「問い合わせにつながらない」
→ “相談窓口”が目立たない/行動導線があいまいなケースが多い。連絡先・QR・相談フレーズの可視化がカギ
・「そもそも“在宅医療”という言葉に構えてしまう」
→ 「医師が家に来る診療」「通院に代わる支え方」といったやわらかい語りかけでハードルを下げる
まとめ:“支える家族”の孤独を、1枚のチラシがそっと癒すこともある
在宅医療は、ご本人だけでなく家族にとっても大きな決断です。
だからこそ、不安に寄り添い、“選べる医療”として伝える工夫が、紙面設計には求められます。
「誰かに相談してもいいかもしれない」
そのきっかけを、やさしい1枚のチラシが生み出してくれるはずです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。