“いまの姿”ではなく、“これからの形”を見せる
理念を伝えるリーフレットが「どんな想いで日々を動かしているか」を語るものだとすれば、ビジョンを伝えるリーフレットは、「この医院がどんな未来を目指しているか」を共有するものです。
患者・地域・スタッフ・求職者…。関わる人に“一緒に歩んでいく未来像”を届けることは、共感や応援、信頼につながります。
本記事では、医療機関がビジョンをリーフレットで伝えるための設計ポイントを紹介します。
“未来志向のリーフレット”に必要な3つの視点
01.“私たちのこれから”を、やさしい言葉で語る
・例1:医療と福祉の垣根を越えた支援を、もっと当たり前に
・例2:“通う医療”から、“暮らしに寄り添う医療”へ
→ スローガンのように抽象化しすぎず、ストーリーとして伝える構成がベター
02.“道のり”と“いまの一歩”の両方を見せる
・5年後の構想 → そのために今年始めたこと、という形で
→ 構想だけでは夢物語に見えがち。実行のリアリティが必要
03.“一緒に関わってほしい”を自然に伝える
・患者にとって/地域にとって/職員にとって──どんな未来を目指すのかを語りつつ、読み手が主語になれるような表現を入れる
・例1:この取り組みは、地域の皆さんとの対話から生まれました
・例2:一緒にこのまちの健康を支えていきませんか?
構成例|A4一枚 or 見開きリーフレット(ビジョン共有ツール)
▢上部
・タイトル:〇〇医院のこれから
・サブコピー:“まちの健康のハブ”として、次の10年をつくる
・ビジュアル:未来を感じさせる地域の写真/スタッフの集合カット/診療と地域の交差点など
▢中部
・① 私たちが今、取り組んでいること
→ 例:多職種連携の強化/地域包括支援センターとの協働/ICT活用など
・② 目指す未来像(“3年後・5年後”を語る)
→ 医療体制/地域との関係/働き方など分けて紹介
・③ 応援・共感の導線
→ LINE登録/イベント参加案内/協力医・パートナー募集案内など
▢下部
・代表メッセージ:変わらないのは、“このまちを支えたい”という気持ちです
・連絡先/Web・SNS案内/最新取り組みのQRコード
・「このリーフレットを読んだあなたと、一緒に未来を描けたら嬉しいです」の締めも◎
言葉の工夫|“ビジョン共有型”リーフレットで使える表現例
・今、医療にできることと、これから医療が果たすべきこと
・“診る”から“ともに歩む”へ
・患者さんも、スタッフも、地域も。“ともに育つ”場へ
・目の前の診療の、その先を見据えて
→ スローガンでなく、“やわらかい意志表明”としてまとめると、読者の心に届きやすい
リーフレットのよくある課題と改善のヒント
・理念とビジョンの違いが伝わらない
→ 理念=原点、ビジョン=未来像。“いま”と“これから”の違いを、構成で明示する
・抽象的すぎて共感されない
→ 未来の姿と同時に、“現時点の取り組み”を事実で示すと信頼性が上がる
・スタッフ向けと外部向けの内容が混在してしまう
→ 読み手の立場別にリーフレットを分ける/内容を二段構成(外部向け/職員向け)にすると伝わりやすくなる
まとめ:“これから”を言葉にすることが、信頼をつくる
医療機関のビジョンは、語らなければ伝わりません。
そして、語るだけでなく「見える形で伝える」ことで、共感と協力の輪が広がります。
1枚のリーフレットで「ここは未来を見ている」と思わせる。
そんなビジョン共有のツールが、地域・患者・職員との信頼を育てる基盤になるのです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。