Key Point
日々の行動が理念に根づく|“介護哲学”の言語化と可視化
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Key Point
「いい介護」は、理念に支えられている。
「うちらしさ」が行動に宿るための言語化と可視化のポイントを紹介。

“現場の判断”に理念が活きているか?

朝の挨拶、声かけのトーン、体調の変化への気づき。
それら日々の行動が理念や価値観と結びついているかどうかが、施設の文化を決定づけます。
言葉が飾りにならず、“介護の哲学”としてスタッフ全員の中で息づいている状態を目指しましょう。

なぜ“理念の可視化”が必要なのか?

・理念はあるが、現場の行動に落とし込まれていない
・「この判断でいいのかな?」と迷ったときのよりどころになる言葉がない
・新人教育やOJTの際に、「うちのケアって、何が大事なの?」を伝えにくい

行動と言葉が一致している施設は、信頼され、選ばれます。
だからこそ、介護に込めた想いを“自分たちの言葉”で整える必要があるのです。

行動につながる“介護哲学”の言語化ステップ

01. 日常の“ちょっとした行動”を拾い出す
・例:「お茶の時間にそっと声をかけてから配膳する」「利用者の冗談にちゃんと笑って返す」
・こうした“当たり前”の中に理念のヒントがある

02. その行動の“理由”を言葉にしてみる
・「なぜそれをするのか?」→「その人の尊厳を守るため」「自分だったらそうされたいから」
・行動の裏にある価値観を可視化することが“哲学”になる

03. いくつかの行動と言葉をまとめ、施設らしい“行動指針”へ昇華
・例:
 -「見守る=その人の力を信じること」
 -「急がない=その人のペースを大切にすること」
・短く、覚えやすい表現で5〜7つ程度に整理

実際の活用シーン

朝礼で1つずつ紹介→今日の行動に意識してもらう
スタッフルームや更衣室に掲示→日々の意識づけに
新人研修時に“体現できる先輩”を見つけるワーク
理念と行動指針に沿った“称賛コメント”をスタッフ同士で贈る

よくある課題と改善アイデア

・言葉にしようとすると“きれいすぎて現実離れ”する
→ スローガンではなく、「そのまま現場でつぶやける言葉」に落とし込むことが大切

・全部を網羅しようとして結局抽象的になる
→ 「うちらしいケア」3〜5つに厳選し、具体事例とセットで整理する

・一度つくっただけで終わってしまう
→ 季節ごとの“行動指針ふりかえりミーティング”を導入し、更新・運用をセットにする

まとめ:「この行動は、うちの“考え方”に基づいている」と言えるか?

スタッフが迷ったとき、「うちの理念に照らすと、こっちだよね」と判断できる。
そんな状態が、“理念が根づいている”ということ。
介護哲学はトップダウンで押しつけるものではなく、現場で日々育てていくもの。
言葉と行動をつなげる設計が、“らしさある文化”を築く第一歩です。

この記事の監修

ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。

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パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の13件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。