“伝える”ではなく“動ける”ブランドへ
医療機関のブランディングが浸透しない理由のひとつは、「理念を知っていても、どう動けばいいかわからない」という現場の声です。
スタッフが自ら動き、周囲に“らしさ”を示すには、具体的なアクションと動機づけの仕掛けが必要です。
ブランドアクション=“この職場らしい行動”の設計
ブランドアクションとは、理念を単なるスローガンで終わらせず、「この職場だったらこう動くよね」という“日常行動の型”に落とし込むプロセスです。
患者対応、チームワーク、クレーム時の対応など、あらゆる場面にブランドは現れます。
スタッフが主役になるアクション設計の考え方
1. 理念に紐づく“行動指針”を言語化する
例:
・理念:「安心とぬくもりを提供する医療」
→ 行動指針:「名前を呼んで目を見てあいさつをする」「患者の表情を1日3回観察する」
具体的な動きに分解することで、“体現の道筋”が見えてきます。
2. 小さな実践を“アクションカード”として共有する
委員会メンバーやスタッフが日々の中で気づいた“らしさの実践例”を、アクションカードとして記録・掲示します。
例:「Aさんが、患者の荷物を自然に持ってあげていた」
こうした記録が“自社の文化”を可視化し、模倣されていく原動力になります。
3. ブランドアクションを“みんなでつくる”スタイルにする
トップダウンで「こう動け」ではなく、「この職場らしい行動ってなんだろう?」をみんなで考えるワークショップを行うことで、共感と当事者意識が育ちます。
スタッフが主体的に動ける“仕掛け”の例
・ブランドアクションボード(良い行動をスタッフが記入・掲示)
・週1回「らしさ」エピソード共有の時間を設ける
・月1回、行動指針をテーマにしたロールプレイ研修を実施
・“ブランドらしい人”に贈る「ありがとうメッセージカード」
ブランドアクションが根づくと起きること
・現場で“言われなくても動く”スタッフが増える
・「ここは雰囲気がいい」と来院者に伝わる
・スタッフが自然に“お互いの行動”を褒め合う文化が育つ
・理念が評価や教育の指針として活用されるようになる
まとめ:理念を“動き”に変えるのは、設計と対話の力
理念を生きたブランドに変えるには、日常の中に落とし込むアクションの工夫が必要です。
スタッフ自身が考え、実践し、共有する。その循環が生まれることで、ブランディングは組織の“文化”へと育っていきます。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。