“やらされ感”から“自分たちの場”へ
理念やビジョンを浸透させたいとき、押しつけではなく、スタッフ自身の中から「こうしたい」が湧き出る状態をつくることが理想です。
そのために有効なのが、スタッフが発案し、主体的に関わる“ミニプロジェクト”の設計です。規模や役職を問わず、誰でも関われることがポイントです。
すぐに取り入れられるスタッフ主導プロジェクトのモデル案
1. 理念体現エピソード掲示板プロジェクト
・内容:スタッフや患者が「らしさ」を感じた行動をメモで貼れる掲示板を設置
・目的:日々の小さな実践を可視化し、共有することで文化を育てる
・ポイント:月1で“今月のベストエピソード”を選出して表彰
2. 「理念×接遇」ショートロールプレイ月間
・内容:朝礼やミーティングで、理念に基づいた接遇場面の寸劇を披露
・目的:理念を“セリフ”ではなく“動き”に落とし込む機会をつくる
・ポイント:楽しく学べる雰囲気づくりと、スタッフ持ち回り制が効果的
3. 理念の“翻訳カード”づくりワークショップ
・内容:「この理念、現場ではこういうことだよね」という言葉をスタッフが再解釈し、カードにまとめる
・目的:抽象的な理念を現場の言葉に変換し、スタッフの言語感覚にフィットさせる
・ポイント:完成したカードは休憩室などに掲示し、常に目に触れる工夫を
4. サンキューカード運用プロジェクト
・内容:理念に沿った行動を見つけたら、手書きの「ありがとうカード」を渡す文化を育てる
・目的:スタッフ間の承認文化とポジティブな連携を強化
・ポイント:カードは共有ボードに掲示し、月1回院内報にも掲載
5. 「私たちらしい接遇100選」づくりプロジェクト
・内容:日々の実践や小さな声かけをスタッフが収集しまとめ、“接遇マニュアル”として発信
・目的:個人の感覚に頼らない、共通認識としての接遇ブランドを育てる
・ポイント:誰でも投稿OK、気軽なトークから拾うのがコツ
スタッフ発案が組織に与える3つの効果
・“自分たちが文化をつくっている”という当事者意識が育つ
・行動や言葉に“理念との接点”が見えるようになる
・院内に前向きな空気と“共感の連鎖”が生まれる
まとめ:ブランドは“スタッフの声と動き”から育つ
理念を掲げるだけでは文化になりません。
スタッフがアイデアを出し、行動し、笑顔で続けられるミニプロジェクトこそが、院内ブランディングの最も確実なプロセスです。
ブランディングとは、現場で動き出した“らしさの種”を育てていく営みなのです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。