“印象に残る施設”は、空間の“感覚設計”が違う
介護施設の満足度は、サービスや設備の良さだけでは決まりません。
実は、「なんとなく落ち着く」「ここにいると安心する」といった感覚的な印象こそが、入居者や家族の心に残ります。
その鍵を握るのが、香り・音・照明といった“空間ホスピタリティ”の設計です。
感覚的ホスピタリティを高める空間演出の要素
01.香り(アロマ)で“安心と清潔感”を演出する
・ラベンダーやオレンジなどリラックス効果のある天然アロマを活用
・清掃後や食事前など、タイミングによって香りを調整することで「清潔な印象」が強まる
・消臭剤ではなく“心地よさ”を意識した香りづくりがポイント
02.音(サウンド)で“空間のリズム”を整える
・静かすぎる空間は不安や孤独感を助長することも
・BGMにはクラシックや自然音など、“話しかけやすい静けさ”を演出できる音を選ぶ
・同時に“話し声が反響しすぎない”音響設計も重要
03.照明で“時間感覚”と“安心感”を与える
・朝は明るめの白色、夕方以降は暖色系の照明に切り替えることで、生活リズムが自然に整う
・直射ではなく“間接照明”を取り入れることで、まぶしさや緊張感を軽減
・面会スペースや談話室などは照明を少し落とし、落ち着いた空気を演出
空間ホスピタリティ設計のよくある課題と改善のヒント
・無臭または消毒臭ばかりで“病院的”な印象になっている
→ 毎日のルーティンに“香りを使った演出ポイント”を組み込む
・テレビの音が大きく、生活音とのバランスが悪い
→ BGMと導線の“音の重なり”をチェックして調整
・照明が全エリア同一で“時間帯の変化”がない
→ 照明のスケジュール管理とゾーンごとの調光設計を見直す
まとめ:“五感の設計”こそが、無意識に選ばれる施設をつくる
目に見えるハード設備だけでなく、香り・音・光といった無意識に感じる要素が、人の感情を大きく左右します。
「ここは空気がやさしい」「自然にリラックスできる」
そんな体験を意図的に設計することで、入居者にもご家族にも、“選ばれる理由”が生まれていきます。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。