介護施設の“ブランド”は、日々の会話に宿る
広告やデザインで語られるブランドも大切ですが、実際に選ばれるかどうかは、利用者との“やり取りの積み重ね”で決まります。
特別な言葉ではなく、何気ない対話の中で「この人に頼っていい」「ここにいて大丈夫」と思えるかどうか。
それが、介護施設のブランド体験の起点です。
“対話”をホスピタリティに変える設計ポイント
01.スタッフ全員が“対話の役割”を持つ文化をつくる
・介護職だけでなく、清掃・厨房・受付など、すべてのスタッフが“話しかける人”として認識される環境を整える
・「誰が話しても安心できる」ことが施設の温度をつくる
02.“雑談”を価値ある関わりに昇華する
・目的のない会話も、「この人は私のことを覚えてくれている」と感じさせる強い信頼要素になる
・話題メモや会話履歴をチームで共有することで、関係が途切れずに続く
03.言葉の選び方に“その人らしさ”への敬意を込める
・名前を呼ぶ、敬語と親しみのバランスをとる、過去の職歴や趣味を話題にするなど、人格を尊重する言葉づかいを意識
・例:「○○さん、また読書されてましたね」など日常への理解が感じられる声かけ
04.対話から“改善提案”を拾える仕組みを持つ
・「実はちょっと使いにくくてね…」という会話の中に、施設運営のヒントが詰まっている
・何気ない一言を「気づきノート」などに記録し、月1回の改善ミーティングに活かす体制づくり
対話設計のよくある課題と改善のヒント
・“話しかけられない雰囲気”の職員がいる
→ 表情・トーン・姿勢の研修やフィードバックをチームで行う
・忙しさから、会話が最低限の業務連絡のみになっている
→ 「1日1会話」など具体的な対話目標をチームで設定
・対話の内容が活かされず、流れて終わってしまう
→ 会話ログを管理できる簡易ツールを導入し、情報を活用できるようにする
まとめ:ブランドは“言葉”から生まれ、“共感”で定着する
介護施設の本当のブランド価値は、どんな言葉を、どんな気持ちでかけているかに表れます。
日々の対話が、「この施設にいてよかった」と思える体験へとつながるように。
会話が信頼を育て、信頼がブランドになる。それが、ホスピタリティの本質です。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。