“他施設と違う何か”は、現場の日常からにじみ出る
ブランディングというと、ロゴやスローガン、広告戦略に意識が向きがちですが、
介護施設の本当の“らしさ”は、現場で働く職員の言動や空気感に表れます。
トップが一方的に定めた理念や方針ではなく、現場と共につくる「うちの文化」こそが信頼と共感を生む土台になります。
「文化=積み重ねられた日常」から始まる
01.職員の“なんとなくの行動”に宿る価値観
・誰かが自然に行っている声かけ、気づき、笑顔。それは無意識のうちに共有されている「うちの普通」
・それこそが文化の種であり、言語化・可視化する価値がある
02.日々のコミュニケーションにこそ“らしさ”がある
・申し送りでの一言、休憩中の会話、レク中の振る舞い…「らしい対応」は現場のやりとりに表れる
・マニュアルには載らないけれど、“あたたかさの型”になっている
03.文化とは“スタッフ全員で共有されている納得感”
・押しつけられた方針ではなく、「私たちらしい」「この施設らしい」と自然に思える共通認識
・それがブランド価値となり、利用者・家族・地域にも伝わっていく
文化づくりをスタートするための第一歩
・“うちの良さって何だろう?”を現場に問いかけてみる
→ グループワークや付箋会議、日報の共有などで“無意識の良さ”を見える化する
・「この言葉、うちらしいね」を集めてみる
→ よく使う声かけ、よく出るワードを集めて“らしさワード”集を作ると、理念の素材になる
・“現場の自然な良さ”に管理職が気づき、拾い上げる姿勢を持つ
→ トップの観察力と共感力が、文化づくりの土壌を耕す
文化づくりのよくあるつまずきと改善のヒント
・「理念はあるけど、浸透していない」
→ それは“納得感”ではなく“共有されていない価値観”だから。現場と一緒に言語化し直す必要がある
・「意識の高いスタッフとそうでない人の差が大きい」
→ “意識の高さ”ではなく“共感できる価値観”に変換していくことが大切
・「何から始めればいいか分からない」
→ 小さな観察と問いかけからで十分。朝礼で「うちの良さ、昨日何かあった?」と聞くことからでも始まる
まとめ:文化は“つくる”より“育てる”もの
「うちの施設らしさ」を育てるということは、職員の“日常にある思いやり”や“こだわり”に光を当てていくことです。
理念やビジョンは、現場の言葉でつくられたときに初めて“自分ごと”になる。
職員とともに文化を耕しながら、内側からにじみ出るようなブランドへと育てていきましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。