“技術だけ教える研修”で終わっていませんか?
介護技術や業務マニュアルを教えることに集中しすぎて、“この施設の考え方・大切にしていること”が伝わっていない──
そんな声を多くの施設で耳にします。
新人研修は、“仕事の手順”を教えるだけでなく、文化や理念を“感じてもらう場”として再設計すべきフェーズにきています。
なぜ理念浸透型の新人研修が必要なのか?
・理念や文化は「見る・感じる・体験する」ことでしか伝わらない
・研修段階で理念が伝われば、スタッフは“共感”を持って職務に向かえる
・理念が伝わらないと、離職や定着率低下の一因にもなりかねない
共感から始まる育成は、技術以上に強い動機をつくります。
理念が伝わる新人研修・OJT設計のポイント
01. 研修初日に“理念ストーリー”を語る時間を入れる
・施設がどんな想いで立ち上がり、どんなことを大切にしてきたか
・「施設長の言葉」や「創業当時のエピソード」を語ることで共感を生みやすくなる
02. “行動指針”を現場で実践する場を設計する
・例:「声かけは“待つケア”を意識してみよう」など、理念に基づいた具体行動をテーマにOJTを行う
・先輩が意図を説明しながら見せると、新人は価値観と結びつけやすい
03. “この施設らしさ”に触れるワークを入れる
・例:「入職して驚いた、あたたかさを感じた瞬間は?」「この施設のいいところって何だと思った?」
・新人目線の気づきを言語化することで、現場の文化も改めて共有できる
04. 理念が浸透した“ロールモデル職員”と対話させる
・理念を体現している先輩職員との懇談や、1on1ミーティングを設ける
・“理念が実在している感覚”を持たせるための接点をつくる
新人研修のよくあるつまずきと改善のヒント
・「忙しくて、理念まで教える余裕がない」
→ 教えるのではなく、“理念に基づいて普段していること”を言語化して共有するだけでも効果あり
・「理念が抽象的で、教える側も自信がない」
→ 施設で使っている行動指針やケアの型とセットで伝えることで、実感がわきやすい
・「新人の反応が薄く、響いていない感じがする」
→ インプット型だけでなく、“自分で考えて表現するワーク”を必ず盛り込む
新人研修・OJTにおすすめの要素例
・理念・行動指針の読み合わせ+感想シェア
・「今日のケアで理念が活きた場面」を探すワーク
・他施設との比較から“うちらしさ”を探るディスカッション
・理念に関するクイズやカードゲームでの定着支援
まとめ:文化は、最初の1週間で“空気”として伝わる
新人が最初に感じた“この施設の雰囲気”、それが文化の入口です。
理念は言葉で伝えるだけでなく、行動・対話・空気で感じてもらうもの。
「この施設の考え方、好きかもしれない」──そんな気づきが、新人の成長と定着の原動力になります。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。