感謝が行き交う職場は、定着率の高い職場である
医療・介護の現場では、スタッフ同士の信頼関係が業務の質を左右します。とりわけ、忙しい中でも「ありがとう」のひと言が飛び交う風土は、離職率を下げ、働きがいを高める重要な鍵となります。しかし、感謝の気持ちは「感じていても伝えない」ままになりがち。そこで注目されるのが、職員間ホスピタリティを“可視化”する施策です。
「見える化」によって職場の空気が変わり、理念が日常に息づくようになるのです。本記事では、感謝の循環を生み出す仕組みづくりと、運用のポイントを具体的にご紹介します。
職員間ホスピタリティを可視化する3つのステップ
職員同士の思いやりを仕組みとして定着させるには、段階的な取り組みが有効です。以下に、導入・運用・定着の3ステップで解説します。
・導入:まずは“ありがとう”を言語化・記録する文化を作る
付箋やカード形式で「ありがとう」を書いて掲示板に貼る、デジタルツールを使って送信するなど、形式にこだわらず「見える」形にすることが重要です。
・運用:スタッフ全員が参加しやすい仕組みに整える
シフト制の職場では、時間帯によって交流が難しいことも。特定の時間に記入タイムを設けたり、委員会制で運用をサポートすることで、継続性が高まります。
・定着:定例会議や朝礼などで定期的に共有する
週に一度の共有タイムや、表彰制度と連動させることで、「ありがとう」が組織の文化として定着します。記録が蓄積されることで、職員同士の信頼関係も可視化されていきます。
可視化を仕組み化すると、理念が日常に息づく
単なる「仲良し風土」を目指すのではなく、施設として大切にする価値観を軸に「どういう行動が感謝されるのか」を明確にしていくことが肝心です。たとえば、理念に「利用者中心のケア」があるなら、「〇〇さんが利用者の気持ちに寄り添って対応していた」など、理念とつながる具体的なエピソードを取り上げると効果的です。
ホスピタリティの可視化は、スタッフの行動を認め合う文化を醸成し、理念の実現に向けた日々の取り組みを後押しする施策と言えるでしょう。
まとめ:感謝の見える化が組織文化を育てる
「ありがとう」は、最も身近なモチベーション向上の言葉です。職員間ホスピタリティを“見える化”し、仕組みとして定着させることで、理念の体現が自然に起きる組織へと変化していきます。業務の効率化や対外的なブランディング施策と並行して、組織内部の空気づくりにも目を向けることが、持続可能な医療・介護施設経営の鍵となるでしょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。