Key Point
被災時に強い情報発信体制とは?病院広報の「災害モード」設計術
ホーム成功の秘訣被災時に強い情報発信体制とは?病院広報の「災害モード」設計術
Key Point
非常時こそ“伝え方”が信頼を左右する
混乱の中でも「届く広報」がブランドを守る

災害時の広報対応が、そのまま病院の印象を決める

地震や台風などの災害時、患者や地域住民が最も求めているのは「信頼できる情報」です。
しかし多くの病院では、SNSやWebサイトの更新が止まり、連絡手段が限定される中で“情報の空白”が生まれてしまうことがあります。
このとき、「きちんと伝えてくれる病院かどうか」が、信頼の有無を分けるポイントになります。

平時のうちに“災害モードの広報体制”を設計しておくことは、医療ブランドを守るための要となる備えなのです。

被災時の広報体制を整える3つの柱

01.「何を、誰に、どの順で伝えるか」を事前に決める
・診療可否/受付状況/職員の安全確認/搬送受け入れ可否など、優先順位を決めた情報設計
・患者・家族・地域住民・行政など、対象別の発信テンプレートを準備しておく
・情報更新の頻度目安(例:3時間ごと、午前・午後1回ずつなど)を定めると混乱を防げる

02.発信チャネルを多重化し、発信者を明確にする
・SNS(X、Instagram、LINE)、Webサイト、院内掲示、地域放送など複数チャネルを活用
・広報担当不在時でも動けるよう、「災害時の発信者」を3名以上リストアップし、権限を共有
・プリントや館内放送など、アナログな方法も含めた多層的な設計が重要

03.“発信フォーマット”を平時から準備しておく
・短文テンプレート(〇〇状況報告/診療案内/避難情報など)をあらかじめ作成
・SNS用画像テンプレートも備えておくと、視認性の高い発信ができる
・文体やトーンも平時と分け、「事実+安心感」のある言葉を選ぶ設計にしておく

災害広報が、病院ブランドを強化する理由

「状況を把握してくれている」と思えることで、地域に安心を与えられる
→ たとえ診療できない場合でも、“声が届いている”感覚が信頼の維持につながる

関係者の混乱を防ぎ、問い合わせ対応コストを下げられる
→ WebサイトやSNSでの明確な告知が、電話対応・窓口対応の負担軽減に直結

誠実な情報発信が、平時のブランディングにも好影響を与える
→ 「あの病院は、どんなときも情報をきちんと出す」という信頼は、採用・広報にも波及する

災害時の病院広報でよくある課題と解決アプローチ

・「広報チームが少人数で、災害時に対応しきれない」
→ 医師・看護師・事務職からも“災害時広報チーム”を編成し、多職種で支える体制へ

・「SNS運用に慣れておらず、災害時に使えない」
→ 平時からのミニ投稿習慣や、フォロワーとのやりとりを通じて、活用に慣れておく

・「何を発信すべきか判断に迷う」
→ 発信の優先順位を事前に整理し、迷ったときの判断基準(命優先・透明性重視など)を明文化

まとめ:“伝える備え”が、病院の信頼を守る力になる

災害はいつ起きるかわかりません。
だからこそ、「どんな状況でも、確かな情報を届けられる病院であること」が、地域や患者にとっての安心材料になります。
災害広報は単なる“危機対応”ではなく、病院の理念や姿勢を伝えるブランディングの機会でもあるのです。
今から、発信体制という“見えない備え”を整えることで、非常時にも「選ばれる病院」を目指していきましょう。

この記事の監修

ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。

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パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の13件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。