働き方を変えずに、ケアの質は変えられない
「人が足りない」「時間が足りない」──介護現場の悩みは、ずっと変わっていないように見えます。
けれど今、ICTやRPAなどのツールを使って、“現場の小さなストレス”を一つひとつ減らす動きが、確かに広がりつつあります。
そしてその改善は、職員のやる気や誇り、そして「ここで働きたい」という声を増やす力にもなっています。
本記事では、“見える業務改善”を通して働き方と施設の信頼を変えていくデジタル活用の方法をご紹介します。
“見える業務改善”を実現する3つの視点
01.「繰り返し作業」「探しもの」をデジタルで削る
・申し送りやヒヤリ報告、シフト調整などをアプリやクラウドで一元化することで、無駄な手書き・確認時間を削減
・RPA(定型業務自動化)を使って、請求業務や日報集計を自動化すれば、ミスも軽減
・“手が空いた時間”を、ケアやコミュニケーションに回せる設計にする
02.“誰かの努力頼み”から“仕組みの力”へ切り替える
・ベテラン職員が「感覚でやっている」業務をマニュアル化+動画化し、誰でも学べる状態に
・LINE WORKSやチャットツールで、職種横断の“ナレッジ共有”文化を育てる
・「なんとなく伝わっていたこと」を“誰でも再現できる業務”に変えていく
03.“改善の見える化”で職員の誇りを育てる
・「この工夫で○時間短縮」「記録ミスが○%減」など、変化を数字と声で掲示・発信
・職員の提案で改善された事例は、“改善提案カード”や表彰制度で認知する
・「自分の仕事が、職場を良くしている」と実感できることが、誇りと定着率を高める
業務改善の可視化がもたらす施設の価値
・“働きやすい施設”として、採用力が上がる
→ 求人情報やSNSで“改善の取り組み”を打ち出すことで、若手・未経験層にも響く
・ケアの質が安定し、信頼が生まれる
→ 記録・連携ミスの減少、対応のスピードアップが家族の安心にも直結
・「変わり続ける施設」として評価される
→ 外部からの連携・紹介・助成金などのチャンスが広がる
働き方改革のよくある課題と改善ヒント
・「職員が改善に消極的」
→ 小さな“成功体験”から共有を始める。「○○さんのこの工夫、助かってます」の一言が広がりを生む
・「ICTに詳しい人がいない」
→ サポートがついているツールを選び、最初は1機能だけのスモールスタートでOK
・「改善しても実感されにくい」
→ Before/Afterの写真・数値・職員の声を掲示板やミーティングで共有し、“見える変化”にする
まとめ:職員の誇りが、“らしさ”を守る力になる
介護施設の価値は、「どれだけテクノロジーを使っているか」ではなく、「どうやって職員が誇りを持って働けているか」によって評価されていきます。
“見える改善”が広がれば、現場に笑顔が増え、ケアにもゆとりが生まれる。
それはつまり、「この施設で過ごしたい」「ここで働きたい」と思ってもらえる施設づくりの第一歩です。
デジタルは、人と仕事に“誇り”を取り戻すためのツール。まずは、小さな改善から始めましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。