良い取り組みほど、外に伝わっていない
介護現場でICTやDXの取り組みを導入しても、「実際にどんな変化があったのか?」を施設外に伝えられていない──そんな声をよく聞きます。
しかし、現場での改善は“見せ方次第”で、採用にも、信頼にも、地域連携にも大きな資産になります。
本記事では、介護施設が自らのDX活用を“語れる力”に変えるレポート・発信術をご紹介します。
DX成果を“伝わるカタチ”にする3つのポイント
01.“ビフォー・アフター”を見えるようにする
・「導入前の課題 → 導入の目的 → 実施内容 → 変化・効果」のストーリーで整理
・定量面(例:作業時間○%削減、入力ミス○件減)と定性面(例:職員の声、入居者の変化)をバランスよく組み合わせる
・可能なら写真や図解で“変化の瞬間”を見せると、共感が高まる
02.“職員や利用者の声”でリアリティを出す
・「最初は不安だったけど、今は手放せない」
・「この時間で、もっと入居者さんと関われるようになった」
→ こうしたナマの声が、読む人の心を動かすコンテンツになる
・採用広報・行政報告・法人内共有など、複数のシーンで使いまわせる素材にもなる
03.“レポート+発信”をセットで設計する
・成果を文書だけにとどめず、SNS・施設ブログ・見学会資料・採用動画などに展開
・タイトルや見出しに“ストーリー性”を持たせて、感情に届く構成に
・例:「“記録に追われる介護”から、“目を見て話せる介護”へ」
伝えることが、次の信頼をつくる理由
・「この施設は進化している」と思ってもらえる
→ テクノロジー導入を“柔軟で前向きな姿勢”として評価されやすくなる
・職員の誇りとチームの一体感が育つ
→ 自分たちの改善が“公式に評価されている”という実感が、モチベーションにつながる
・法人全体のブランド力・連携力が上がる
→ 他施設への共有や行政報告の場で、信頼と注目を集める好材料に
DX活用レポートのよくある課題と解決のヒント
・「報告書は出すけれど、活用できていない」
→ 成果の要点だけを抜き出した“ダイジェスト版”を作成し、外部発信に活用しやすくする
・「効果をうまく言語化できない」
→ 導入前後の様子を職員・利用者にインタビューし、第三者視点のストーリーにまとめる
・「外部にどう伝えていいかわからない」
→ 広報・採用の目的ごとに「誰に」「何を」「どう伝えたいか」を整理して分冊化する
まとめ:“記録”から“価値”へ。DXは伝えてこそ力になる
良い取り組みは、内側だけにしまっておくのではなく、“語れる形”にすることで、信頼・共感・発展の糧になります。
それは、自慢でも自己満足でもなく、「私たちは、より良くなろうとしている施設です」と伝える誠実な姿勢。
“取り組みの発信”もまた、やさしい介護の一部。ぜひ、伝える力を育てていきましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。