「よくわからない」が、家族の最大の不安
介護施設に大切な人を預ける家族にとって、一番の不安は“見えないこと”より“わからないこと”です。
「認知症ってどう進行するの?」「看取りってどんなふうに行われるの?」「急変時、どこまで対応してくれるの?」
そうした“知識不足による不安”を、丁寧な学びの場で支えることができれば、信頼と安心につながります。
本記事では、家族の理解と共感を育てる“学べる施設”のつくり方をご紹介します。
家族支援型セミナー企画のポイント
01.「知りたいこと」に寄り添ったテーマ設計を
・定番テーマ:認知症の理解/看取りの考え方/施設の医療対応/感染症対策/介護保険の制度理解
・アンケートや日頃の質問から「本当に聞きたいこと」を拾って内容に反映する
・複数テーマの“連続講座形式”にすることで、関係性が深まり、継続参加にもつながる
02.専門性と親しみやすさの“バランス”が鍵
・講師は医師・看護師・ケアマネ・心理士など、信頼できる専門職を選定
・難しい用語は避け、「家族の立場」に寄り添ったトーンで構成する
・“講義”ではなく“対話型セミナー”として、質問・ワーク・共有時間をしっかり確保
03.“施設の思い”とつなげて伝える仕掛けを
・「なぜこのテーマを選んだのか」「うちのケア方針とどうつながるのか」を冒頭や資料で明示
・理念や職員の実践と絡めることで、学びが“施設らしさの再発見”につながる
・資料は丁寧に整理して残し、参加できなかった家族にも共有できるようにする
“学べる場”がもたらす信頼とブランディング効果
・家族の不安が“理解”と“共感”に変わる
→ 知識を得ることで「施設を信じて任せられる」状態に近づく
・クレームではなく“建設的な対話”が増える
→ 背景知識があることで、共通の言語でケア方針を話し合える
・「応援したくなる施設」として地域での評価が高まる
→ 家族や地域住民からの紹介・口コミ・信頼が自然と広がる
家族支援型セミナーのよくある課題とその改善ヒント
・「開催しても参加者が少ない」
→ 時間帯(夜間・土日)や配信(オンライン対応)など、家族のライフスタイルに合わせて柔軟に設計する
・「内容が一方通行になりがち」
→ グループワークや“ちょっとした悩み相談タイム”を入れることで、参加者の満足度が高まる
・「準備の負担が大きい」
→ 過去の資料テンプレート化+地域専門職との協働開催(共催)で負担を分散する
まとめ:“学び”を届ける施設は、“安心”を育てる施設になる
介護施設が家族にできる支援は、ただ“伝えること”ではありません。
“一緒に学び、考える時間”を持つことで、不安が安心に変わり、対立が信頼に変わる。
そしてその積み重ねが、「この施設は違う」「ここなら任せたい」と思われるブランドへとつながっていきます。
“学べる場づくり”は、家族支援であり、施設の姿勢を示す最高の広報です。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。