“読む前に、感じられている”パンフレットの印象
パンフレットを手に取った瞬間、読み手はまだ1文字も読んでいないのに「なんとなくの印象」を受け取っています。
その印象を決めるのが、色づかい・余白・フォントなど、デザインの細部です。
医療機関の場合、このデザインの質が「信頼できそう」「親切そう」「話しやすそう」といった“感情的な第一印象”に直結します。
本記事では、“視覚の設計”によって信頼と安心感を届けるパンフレットのデザイン思考をご紹介します。
信頼感を生むパンフレットデザインの3原則
01.色は“意味”と“感情”を伝えるツール
・医療に適したカラー=清潔感のあるブルー系、安心感のあるグリーン系、温かみのあるベージュ系など
・ターゲットによって変える:
- 小児科 → 明るくポップなパステルカラー
- 緩和ケア → 落ち着いたアースカラー+やわらかい光の写真
・医院の性格(まじめ・親しみ・柔らかさ)を色で補足するイメージ設計が重要
02.余白は“安心と読みやすさ”を生む空間
・文字や写真を詰め込みすぎると、窮屈さ・無機質さ・押しつけがましさが生まれる
・余白には「落ち着き」「丁寧さ」「読み手への配慮」がにじむ
・“言葉が呼吸できる空間”を確保することが、安心感につながる
03.フォントは“語りかけ方”を決める声のようなもの
・明朝体:真面目さ・信頼感・文章量が多いときに最適
・ゴシック体:読みやすさ重視/やさしいトーンを出すには丸ゴシックがおすすめ
・筆記体・デザイン書体はアクセント程度に/あくまで“読み手のストレスゼロ”が大前提
・パンフレット全体でフォントの種類は2つまでに抑えると、まとまりが出る
デザイン設計のコツ:読み手の「気持ちの流れ」に寄り添う
・表紙=“なんとなく気になる”をつくる色と余白
→ 院名だけでなく「医院の姿勢」を象徴するコピーを添える(例:「日々の不安に、そっと寄りそう診療所です」)
・中面=“見たいところから読める”視線の流れ
→ 小見出し・図解・吹き出しコメントを活用し、情報を“地図的”に配置
・終わり=“信頼の後押し”になる言葉と写真
→ 院長・スタッフの言葉や、地域とのつながりを表す写真で読後の温かさを演出
パンフレット制作のよくある課題と改善のヒント
・「色のバランスがバラバラで落ち着かない」
→ メインカラー1色+補助カラー2色+アクセント1色の4色以内で設計する
・「文字が多くて読まれない」
→ 情報は“削る”だけでなく、“見せ方”で整理する(アイコン/図解/見出し)
・「“医院らしさ”が出ていない」
→ 写真選び(表情・場面)や色のトーンに、“人の温度”を込める工夫を加える
まとめ:パンフレットは、“色・余白・文字”で信頼を語るメディア
見た目は、言葉より先に届くメッセージです。
だからこそ、視覚設計を丁寧に整えることは、信頼される医療の“空気感”をつくることにほかなりません。
派手すぎず、地味すぎず。“あなたらしさ”が滲み出るような色と余白と文字の選び方で、パンフレットは「また読みたくなる広報誌」に変わります。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。