形式によって“伝わり方”も“記憶の残り方”も変わる
「パンフレット」とひとことで言っても、その形はさまざまです。A4一枚、巻三つ折りリーフ、6ページ以上の冊子…。どの形式が正解かは、パンフレットを「誰に」「何のために」「どんな場面で」使うかによって変わってきます。
たとえば、院内に置いて気軽に持ち帰ってもらうパンフレットと、採用説明会や地域連携に使うパンフレットでは、必要な情報量も期待される役割もまったく違います。
本記事では、よく使われる3つのパンフレット形式と、それぞれに合った使い分けの考え方を紹介します。
1枚ものパンフレット(A4チラシタイプ)
・情報を“シンプルに1枚で伝える”形式。
・視線が全体に行き届きやすく、すぐに要点が伝わるのが魅力。
活用例:
・開院・移転・イベントなどのお知らせ
・健診・検診などの季節案内
・1つの診療科・サービスに特化した紹介
こんなときにおすすめ:
・地域住民向けの配布物として
・説明補足資料として診察時に渡す
・Webダウンロード・LINE連携にも使いやすい
巻三つ折りパンフレット(A4リーフレット)
・手のひらサイズで持ち歩きやすく、6面構成で情報を“段階的に”伝えられるのが特長。
・初診案内や診療の流れ、よくある質問などをやさしく整理するのに向いています。
活用例:
・初めて来院される方向けの案内パンフレット
・診療科別パンフレット(例:皮膚科、小児科など)
・院内の配置用・ポスティング・同封資料などに
こんなときにおすすめ:
・診察やカウンセリング後に手渡ししたいとき
・最低限の情報で「雰囲気」と「安心」を届けたいとき
・女性・高齢者向けに“やさしい印象”を持たせたいとき
冊子型パンフレット(中綴じ6〜12P程度)
・理念・院長の想い・スタッフ紹介・診療科紹介など、“医院の全体像”をストーリーで伝えるのに最適。
・読後に印象を残したいときや、保存してもらいたいときに向いています。
活用例:
・開院・リニューアル時の公式紹介パンフレット
・採用・連携先への資料用として
・地域イベントでの配布、院内設置用に
こんなときにおすすめ:
・医院の“想い”や“文化”まで丁寧に届けたいとき
・初診だけでなく継続的に通ってもらいたいとき
・病院全体の信頼感や“らしさ”をじっくり伝えたいとき
形式を選ぶ際に考えるべき3つの視点
・「どんな場面で、誰に渡すか?」
→ 診察後?ポスティング?地域連携?状況によって最適なサイズ感が変わります。
・「そのパンフレットで、どこまで伝えたいか?」
→ コンセプトや想いまでしっかり届けるなら冊子、概要や導線だけなら巻三つ折りか一枚もので十分です。
・「“手に取りたくなるかどうか”を想像できているか?」
→ サイズ、重さ、デザインによって“手に取るハードル”は大きく変わります。
パンフレット制作のよくある失敗と改善のヒント
・「たくさん作ったけれど、読まれずに残っている」
→ 手渡しや同封の“導線”が設計されていない可能性があります。配布シーンを想定し、スタッフとの共有を。
・「情報が多すぎて読む気が起きない」
→ 形式を分けて“分冊化”することで、負担なく読んでもらえるようになります。
・「形式を変えたいが、どう選べばよいかわからない」
→ ペルソナ(読者像)と利用シーンをメモに書き出してみましょう。自然と“ふさわしいパンフレットの形”が見えてきます。
まとめ:形式選びは、読者との“距離感設計”でもある
パンフレットの中身がいくら良くても、その“かたち”が読者と合っていなければ、手に取られず終わってしまうこともあります。
だからこそ、伝える内容だけでなく、“どう届けるか”という器=形式も、ブランディングの重要な要素です。
そのパンフレットがどこで手に取られ、どんな気持ちで読まれるのか――。
形式選びから、読み手との関係性づくりを始めていきましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。