不安・混乱・ストレスは、“わからなさ”から生まれる
外来診療の現場では、「いつ呼ばれるのか」「どこで待てばいいのか」「会計はどうするのか」など、患者が“何をすればいいか”がわからない状態がストレスの原因になります。
特に初診の方、高齢の方、子連れの方にとっては、“病院に慣れていない”ことそのものが緊張要因になります。
こうした不安を防ぐには、手順を明快にしつつ、読み手に寄り添うトーンを持つパンフレットの存在が有効です。
本記事では、外来診療パンフレットに求められる案内設計の基本と、その工夫を解説します。
外来診療パンフレットに必要な3つの安心要素
01.“流れが見える”構成にする
・受付から診察・会計までの流れを見出し+フロー図で整理する
・「①受付」「②問診」「③診察」「④会計」と番号で示し、一目で全体が把握できるように
・待ち時間の目安や混雑しやすい時間帯も記載すると、患者の心理的ストレスが軽減される
02.“よくある不安”に先回りして答える
・「車椅子でも入れますか?」「子どもと一緒に来院できますか?」など、実際に寄せられる質問をパンフレット上でQ&A化
・初めての方にとっては「聞きたいけど聞きづらいこと」が多い
・スタッフ紹介や対応風景の写真を載せると、「話しかけやすそう」という印象も補える
03.“やさしいトーン”で安心感を伝える
・文体が硬すぎると、「ルールが多い」「厳しそう」という印象を与えがち
・「何か不明な点があれば、遠慮なくお声かけください」などの気づかいの言葉を添えることで、心理的距離が縮まる
外来診療パンフレットのおすすめ構成例
・表紙:「初めて来院される方へ」+やさしい写真+施設名
・1P:ごあいさつ・診療方針(「安心して受診していただくために」など)
・2P:来院から診療終了までの流れ(イラスト付きのステップ解説)
・3P:受付・問診・診察のそれぞれの流れ+注意点
・4P:よくある質問(子ども連れ・駐車場・支払い方法など)
・5P:混雑しやすい時間帯/予約の有無/LINE案内
・6P:スタッフ紹介・お知らせ・緊急連絡先
パンフレット制作のよくある課題とその改善ヒント
・「案内文が情報過多で読まれない」
→ 長文よりも、見出し・番号・箇条書きで視覚的に整理することで、読み進めやすくなる
・「初診の方が混乱してしまう」
→ 初診専用パンフとして分ける/「初めての方へ」セクションを先頭に置くことで導線を整える
・「スタッフが説明しても理解されにくい」
→ パンフレットと説明内容をリンクさせておくと、患者が後から見返しても迷わずに済む
まとめ:“手順の説明”だけでなく、“安心の設計”を意識する
外来診療パンフレットは、病院の第一印象を決める大事なツールです。
単に案内するのではなく、「安心して過ごせる」「ここなら大丈夫」と思ってもらえる設計こそが、ブランディングの要になります。
“わかりやすい流れ”と“やさしい言葉”の両輪で、混乱のない外来体験を支えましょう。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。