「いいことが書いてあるのに、読めない」では意味がない
高齢者向けの情報発信において、最も重要なのは“読みやすさ”と“わかりやすさ”の設計です。
どれだけ丁寧な説明や正確な情報が載っていても、読みにくい文字や複雑な構成では届きません。
特にリーフレットは情報量が限られるからこそ、“やさしく届ける工夫”の積み重ねが鍵になります。
高齢者向けリーフレットに必要な5つの設計視点
01.フォントサイズは「最低12pt」、理想は14pt以上
・タイトルは16〜18pt、本文も14pt前後が理想
・小さすぎる文字は、それだけで「読む気をなくす」原因に
02.行間・余白をしっかりとる
・読みやすさは「行間」に比例する
・1行あたりの文字数も多すぎず、5〜7行で段落を区切ると可読性アップ
03.漢字ばかりにしない、ふりがなは必要に応じて
・「診療」「症状」などは読み仮名があると安心
・難しい言葉を避け、“話し言葉”で説明するスタイルが好まれる
04.図・写真・イラストを使い、「見てわかる」設計を
・言葉だけでなく、行動の流れや持ち物案内などは図解に
・高齢者の写真や地域の風景など、“親しみ”を感じるビジュアルを選ぶと効果的
05.“自分のこと”と思える呼びかけを
・例:「血圧が高めと指摘された方へ」「最近、物忘れが気になるという声が増えています」
・「あなた」「ご家族に」など、身近な視点での語りかけが共感を生む
構成例|三つ折りリーフレット(高齢者向け診療案内)
▢表紙(1面)
・タイトル:「〇〇の健康が気になる方へ」
・写真:シニア世代の笑顔/散歩中の家族など
・サブコピー:「読むだけでも安心できるように、わかりやすくまとめました」
▢中面1〜3(展開面)
・① よくあるお悩み(例:「なんとなく体が重い」「検査のことがよくわからない」)
・② 診療の流れ・初診時のポイント(図解入り)
・③ Q&Aコーナー(例:「付き添いは必要?」「予約しなくても大丈夫?」)
▢裏面
・大きな文字で診療時間・電話番号・地図
・「まずはお電話でお気軽にどうぞ」など、やさしい言葉の導線
リーフレット制作のよくある課題とその改善ヒント
・「高齢者向けと言いながら、文字が小さすぎる」
→ B5やA4を三つ折りにする場合でも、見出しのジャンプ率(大中小の差)と行間のゆとりで読みやすさは大きく変わる
・「漢字ばかりで、読まれていない」
→ ひらがな・カタカナ・記号をうまく使って、“目で追いやすいリズム”を意識
・「誰向けのリーフレットかが曖昧」
→ 表紙に「〇〇な方へ」「ご家族の方にも」など対象者が明確にわかる表現を添えると手に取られやすくなる
まとめ:“読める”ことは、“信頼される”ことにつながる
高齢者に向けたリーフレットでは、情報そのもの以上に「読めるかどうか」が問われます。
読み手にやさしい紙は、それだけで「ここは信頼できる」と感じてもらえる第一歩に。
“声に出して読んでもらえるリーフレット”を目指して、設計してみてください。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。