“はじまり”を支えるリーフレット
治療が終わって退院しても、不安や疑問はそこで終わりません。
「この後どうしたらいい?」「何に気をつければ?」「困ったときは誰に聞けばいい?』
そんな気持ちに寄り添えるのが、退院・治療後フォロー用のリーフレットです。
このタイミングで渡すリーフレットには、「情報」だけでなく、“安心”と“次の一歩”を届ける設計が求められます。
退院後に役立つリーフレット設計の3つの基本
01.「これから」に関する行動を明示する
・例1:2週間後を目安に、外来受診があります。
・例2:傷の様子に変化があれば、すぐご連絡ください。
→ “何をどうすればいいか”を箇条書きで整理するだけで、安心感が大きく変わる
02.“困ったときの相談先”を明記する
・外来連絡先・訪問看護・地域連携窓口などを具体的に
・QRコードやLINE窓口も有効。「いつでも、気軽に連絡OK」と明記することがポイント
03.「生活の中でよくある不安」に先回りする
・例:「入浴してもいい?」「階段は使っていい?」「食事は普通で大丈夫?」など
・医療的な説明よりも、“日常の行動レベル”で伝えると実用性が高い
構成例|A4リーフレット(退院・治療後フォロー)
▢上部
・タイトル:退院後の生活で“よくあるご質問”まとめました
・写真:自宅でくつろぐ高齢者/家族と過ごす様子
・コピー:治療のあとは、あなたの生活のそばに。
▢中部
・① よくある不安とQ&A(5~6項目)
→ 食事・運動・お風呂・薬・生活リズムなど
・② 受診・連絡のタイミング
→ 「こんなときはご連絡ください」チェックリスト
▢下部
・相談窓口・診療科直通番号・地域連携室
・LINE相談/WebページQRコード
・「どんな小さなことでも、お気軽にご連絡ください」の一言を忘れずに
リーフレット設計の工夫ポイント
・文字は大きく、見出しは太く
→ 高齢者や家族が読むことを前提に、“読み流せるリーフレット”にする
・“入院中に聞きづらかったこと”にフォーカス
→ 小さな生活の不安(例:トイレ/睡眠/趣味の再開など)に触れると、患者・家族双方に喜ばれる
・表情ある写真 or 院内スタッフ紹介があると親しみUP
→ 医師や看護師からの一言コメントを添えると、「ここに相談していいんだ」という気持ちが強くなる
リーフレットのよくある課題と改善のヒント
・リーフレットはあるが、“伝わらない”
→ 内容が網羅的すぎて、患者が“自分に関係あるか”判断できない。要点だけを届けるリーフレット構成に切り分ける
・退院説明のあとに“読まれていない”
→ 退院前の“持ち帰り用”としつつ、自宅で家族も読める設計(やさしい言葉+大きな文字)にする
・電話の問い合わせが増えすぎてしまう
→ “よくある質問”を先回りすることで、問い合わせ件数そのものを減らせる
まとめ:“退院後の不安”を、リーフレットで軽くする
患者にとっての“通院の終わり”は、生活の中での医療とのつきあいの始まりでもあります。
だからこそ、最初のフォローアップを担う紙には、「あなたの不安は、想定済みです」という安心感が必要です。
大丈夫だと思える構成と、頼っていいと思える言葉。
それを1枚のリーフレットに込められたとき、医院の信頼は“通院後”にも続いていきます。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。