“紹介してもらう”から“信頼されて託される”医院へ
病診連携・病病連携・介護事業所との連携──紹介を受ける立場の医院にとって、“信頼に足る情報提供”は最初の一歩です。
そのとき役立つのが、「どんな患者さんを受け入れ、どう診ているか」がコンパクトに伝わるリーフレットです。
単なる診療案内ではなく、“紹介先の安心”を重視した設計が、医療者同士の信頼構築を支えます。
紹介先へのリーフレット設計に必要な3つの視点
01.“受け入れ対象”を明確にする
・例1:通院が困難な高齢患者様の在宅対応可能
・例2:〇〇疾患のスクリーニング・治療後の管理に対応
→ 曖昧な表現よりも、“どういう患者をどこまで診るのか”をはっきりと書くことが安心感につながる
02.“診療体制”と“対応スピード”を示す
・担当医/曜日/緊急対応の可否/訪問診療の範囲/検査対応など
→ 特に「紹介後どんな流れで診るか」「いつ診られるか」は紹介元が最も知りたい情報
03.“信頼できる医師像”を見せる
・例:医師の経歴・得意領域・診療姿勢を簡潔に
→ 患者を託す以上、「どんな先生か」が見えることで紹介への心理的ハードルが下がる
構成例|A4リーフレット(紹介先向け)
▢上部
・タイトル:ご紹介いただく皆さまへ|〇〇クリニック診療体制のご案内
・サブコピー:在宅支援・生活習慣病管理・検査連携など、地域の“あとを診る医療”として対応いたします
▢中部
・① 対応疾患・受け入れ対象の明記
→ 高齢者の慢性疾患管理/生活習慣病コントロール/簡易認知機能検査/在宅診療など
・② 診療体制・予約方法・連携の流れ
→ 担当医師名・外来日/緊急時の連絡先/地域連携室との窓口
・③ 医師・担当者からのメッセージ
→ 「ご紹介患者様には、経過報告を迅速に行います」など安心の一文
▢下部
・住所・電話・FAX・連携窓口/紹介状送付先・地図・診療時間
・Webフォーム・連携用LINE・メールなどの情報
・「施設様・ケアマネジャー様との情報共有も柔軟に対応します」の一言を添えて
強みの伝え方|“連携視点”で語る表現例
・認知症初期の診断とご家族対応を重視
・HbA1cモニタリングと食事・運動指導の継続支援
・訪問看護・薬局・介護との連携体制あり
・退院後1週間以内の初回訪問診療に対応可能
→ “自院の役割”を言語化することで、紹介元との役割分担が明確になる
よくある課題と改善のヒント
・強みを伝えているつもりでも選ばれていない
→ 受け入れ範囲や流れが曖昧だと紹介しにくい。“誰に、どう対応するか”を明示することが基本
・患者向けのリーフレットをそのまま使っている
→ 医療者視点では冗長に見える内容が多く、紹介元が知りたい要素に特化した別紙構成が必要
・“丁寧さ”が伝わらず不安に思われている
→ 医師や事務担当の顔写真・メッセージを添えると、信頼できる印象を持たれやすくなる
まとめ:“地域とつながる入口”は、1枚のリーフレットから始まる
紹介元にとって、患者を任せるというのは“信頼のバトン”を渡すことです。
その信頼を受け止められるかどうかは、「対応のわかりやすさ」「人の見える設計」「強みの明示」にかかっています。
“この医院なら任せられる”と思ってもらえるリーフレットを。
それが、連携の質を高める第一歩になるのです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。