“ケアする場”から“つながる場”へ進化する介護施設
かつて介護施設は「閉じられた空間」でした。
しかし、少子高齢化・地域孤立・支援人材不足といった社会課題が進行する今、
介護施設は“地域を支えるプレイヤー”としての役割を担いはじめています。
その存在は、「高齢者のため」ではなく、「誰もが安心して暮らせる地域づくり」の中心として捉えられるようになってきました。
共生社会における介護施設の“存在価値”とは?
01.地域の「見守り・つながりのハブ」として機能する
・子育て家庭の一時預かり相談窓口
・地域住民の健康相談・フレイルチェック
・買い物難民支援や移動販売の拠点
02.“役割のある場所”として高齢者自身が貢献できる
・入居者が地域行事で司会を務める/施設内で製品づくり→地域マルシェで販売
・「支えられる存在」から「支える側」へ転じる体験が、生きがいを生む
03.多世代・多文化が交わる“地域の交差点”となる
・こども食堂の併設/外国人スタッフとの交流会/認知症カフェなどを実施
・高齢者も、子どもも、障がいのある人も、地域の誰もが関われる“開かれた場所”に
“地域の中の存在価値”を高める実践のヒント
・行政・商店街・NPOとの定期的な連携会議を持つ
→ 施設の役割を一方的に発信するのではなく、「地域の課題にどう関われるか」を共に考える場を持つ
・施設運営の一部に“住民の声”を組み込む
→ アンケート、対話会、まちづくりワークショップなどを通じて、“共につくる施設”の印象を醸成
・外から中が見える“透明性ある施設”を目指す
→ オープンデイ、公開レク、SNSでの日常発信など、住民がいつでも触れられる運営姿勢を示す
共生の場づくりのよくある誤解と改善の視点
・「地域貢献=施設の負担」と考えてしまう
→ 地域とつながることで、結果的に入居率・採用力・ブランド信頼が向上する
・「まちとの接点がない」と感じている
→ 小さな施策から始める:ご近所挨拶・回覧板でのお知らせ・入口の掲示板更新からでも十分に効果あり
・「利用者を守ること」が優先で外に目を向けにくい
→ “守る”と“開く”を両立する設計が、新時代の介護施設の価値となる
まとめ:“介護施設だからできる”共生の場づくりへ
介護施設が社会に対して担える役割は、単なるケアの提供ではありません。
人と人をつなぎ、世代や立場を超えて関われる“地域のプラットフォーム”としての進化こそが、これからのブランド価値になります。
その存在が地域の未来をつくり、「ここにあってよかった」と心から思われる施設へ。
介護施設は、共生社会の象徴になれる場所なのです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。