内容より先に“読めるかどうか”で判断される
高齢の患者さんやその家族がパンフレットを手にしたとき、まず感じるのは「内容の良し悪し」ではありません。
「小さくて読めない」「どこを読めばいいかわからない」――そんな第一印象で手放されてしまえば、どれだけ丁寧に作り込んだ内容も届きません。だからこそ、高齢患者向けのパンフレットは“見やすさ”と“読みやすさ”を最優先に設計する必要があります。
本記事では、高齢者にも安心して読んでもらえるパンフレットを作るための視覚設計・構成の工夫を紹介します。
“見やすさ×読みやすさ”を叶える工夫のポイント
01.フォントサイズは“14pt以上”が基本
・小さな文字はそれだけでストレスになる
・本文は14〜16ptを基準に設定し、見出しや強調箇所はさらに大きくして明快に
・「たくさん入れる」より「ちゃんと読める」ことを優先
02.白黒のコントラストと“色の意味”をはっきりと
・背景と文字色のコントラストが弱いと読みづらくなる(淡いグレーに白文字などはNG)
・高齢者にとっては、青と緑、赤とピンクなども区別しづらい組み合わせがあるため、色選びにも注意
・使う色は少なくし、見出し・ポイントだけに限定すると読みやすい
03.情報を“グルーピング”して見出しで導く
・文字のブロックが続くと、どこを読めばいいのか迷ってしまう
・「初診の方へ」「お薬について」「送迎について」など、情報をテーマごとに区切り、目に入りやすく構成する
・アイコンや囲みを使うと“目印”になり、読みやすさが向上する
高齢者にとっての“やさしいパンフレット”の構成例
・表紙:読みやすい大きな文字+写真(笑顔・施設の外観など)で安心感を演出
・1P:はじめに/このパンフレットで伝えたいこと
・2〜3P:よくある質問形式(通院方法/受付時間/費用など)
・4P:診療科目紹介(図やイラストを使って説明)
・5P:スタッフ紹介・理念・想いなど(写真と一言コメントつき)
・6P:地図・連絡先・予約方法・電話案内(見やすい地図が特に重要)
パンフレット制作のよくある課題と改善のヒント
・「情報を入れすぎて、逆に読まれない」
→ 内容を削るのではなく、“複数のパンフレットに分ける”ことで負担を減らす
・「デザイン重視で文字が見づらい」
→ かっこよさより“読みやすさ”を最優先に。フォントはゴシック体、太さは中〜太字がベター
・「パンフレットを渡しても、説明しないと伝わらない」
→ スタッフが“補足しやすい構成”になっているか見直す(ポイントごとに口頭説明しやすい分け方を意識)
まとめ:“読める”ことが、“伝わる”ことの第一歩になる
高齢患者への配慮は、専門的なケアより前に「このパンフレット、読みやすいな」と感じてもらうことから始まります。
パンフレットは、医療者の思いや制度を伝えるためのツール。
その伝達が届くかどうかは、“読者の目線に合わせた設計”ができているかにかかっています。
「読ませる」より「読める」。
その視点の違いが、信頼される医療ブランディングにつながっていきます。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。