「専門だからわかりづらい」は、言い訳にならない
がん治療、心臓病、糖尿病、希少疾患…。
高度な専門性をもつ医療機関ほど、患者や紹介元にとって「ここに任せていいのかどうか」を判断する材料が重要になります。
そのときに頼りにされるのが、“説得力のあるパンフレット”です。
知識や技術の高さだけでなく、「わかりやすく伝えようとする姿勢」が、信頼の決定打になります。
本記事では、専門医療機関にふさわしいパンフレット設計の要点を、“安心+説得力”の両立という観点から解説します。
“専門性パンフレット”に必要な3つの要素
01.医師や医療体制の強みを「ストーリー」で伝える
・経歴や資格だけを並べるのではなく、「なぜこの領域に携わってきたのか」「何を大切にしているか」など、“言葉で語られた想い”が信頼を生む
・「〇〇の経験が豊富」「治療実績〇〇件」も、“患者視点でのメリット”とセットで語ると伝わりやすい
02.診療プロセスや技術的な内容は“図と言葉”で整理する
・治療内容や検査方法などの詳細は、専門用語のままでは伝わりづらい
・文章とあわせて、図解・チャート・イラストなどで“ひと目で全体像が見える”設計にする
・「こんな方におすすめです」「治療前に不安の声が多いポイントはここです」など、患者目線の補足を添えると親切
03.他院との違いを“比較ではなく、姿勢の違い”で示す
・「最新設備がある」「多職種連携が強い」などの特徴は、“それをなぜ重視しているのか”という姿勢に落とし込むことで共感される
・例:「医療だけでなく、生活支援まで見据えたチーム設計を行っています」など、“考え方の違い”にこそ信頼が宿る
専門性を伝えるパンフレットの構成例
・表紙:シンプルで信頼感のあるデザイン+「〇〇専門の医療を、地域で」などのキャッチコピー
・1P:専門分野・理念紹介(“患者にとって何を大切にしているか”を中心に)
・2P:診療内容・対応疾患(図解+症状別の解説)
・3P:治療・検査の流れ(ステップフローと写真)
・4P:医師紹介(経歴+想いの言葉)/多職種の役割紹介
・5P:患者Q&A・治療の不安に寄り添う情報コーナー
・6P:紹介元医療機関向けの情報・アクセス・予約導線
パンフレット制作のよくある課題と改善のヒント
・「専門性が強すぎて“伝える気がない”ように見える」
→ 資格や用語に偏らず、「伝える努力」が見える表現・構成にすることで、信頼性が一気に高まる
・「他院との差別化があいまい」
→ 医療内容ではなく、“価値観”や“診療スタイル”の違いを言語化することで、「ここにお願いしたい」と思わせる後押しに
・「医療者向けと一般向けの切り分けが曖昧」
→ 両方を一冊にまとめる場合は、前半:患者向け/後半:紹介先・医療者向けの構成にするのが理想的
まとめ:専門性を「伝える姿勢」こそが最大の信頼材料になる
専門医療は、質の高さだけでは選ばれません。
それをどう伝えようとしているかが、患者や紹介元の信頼を左右します。
「この病院、ちゃんと考えてくれている」「自分の不安を理解してくれそう」
――そう思ってもらえるパンフレットには、専門性をやさしく・丁寧に伝える工夫が込められているのです。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。