Key Point
スタッフ参加型で施設理念を再構築するワークショップの設計法
ホーム成功の秘訣スタッフ参加型で施設理念を再構築するワークショップの設計法
Key Point
その理念、職員の“実感”とつながっていますか?
スタッフ参加型でつくる、実感のある施設理念の再構築法。

“浸透しない理念”は、共感されていない証拠

掲げた理念が形骸化している…。
多くの施設が感じているこの問題の原因は、「現場の実感」と理念との間に距離があるからです。
理念を再構築するなら、現場の声とともに。
スタッフ参加型で“言葉を再定義”するプロセスこそが、施設全体に文化を根づかせる鍵となります。

なぜ「理念の再構築」が必要なのか?

・理念が現場で語られていない/意識されていない
・外部の誰かに作ってもらった“立派だけどピンとこない”言葉になっている
・スタッフが「うちの施設らしさって何?」と問われたときに答えられない

理念は、掲示されるためではなく、判断と行動を支える言葉でなければなりません。
だからこそ、“内側から生まれる再構築”が必要なのです。

ワークショップの設計ステップ

01. テーマを明確にする
・例1:「私たちが大事にしていることって何?」
・例2:「この施設が“らしく”あるために必要なこと」
・理念の原型を探る問いを設定することで、職員の内側の価値観が引き出されやすくなる

02. 少人数×対話中心で構成する
・4~5人のグループで実施、職種を混ぜることで多様な視点が生まれる
・記入ワークより「話す・聴く」時間を大切にする

03. “自分の言葉”で語ってもらう
・「こんなとき、私はこうしたくなる」「こんな言葉を大事にしてる」など具体的な経験ベースで話してもらう
・キーワードを付箋で可視化→共通点をグルーピング→仮コンセプトへ

04. ファシリテーターが“意味づけ”を支援する
・参加者が出した言葉を無理なくつなげ、意味を掘り下げるサポート
・「この言葉、私たちらしいね」「これがあるから安心できるよね」と共感を引き出す

ワークショップのよくある課題と改善ポイント

・「照れくさくて、いい言葉が出ない」
→ 過去のエピソードや“入社時の気持ち”などを思い出すワークショップを事前に組み込む

・「職員に考えさせるなんて負担では?」という声が出る
→ ワークショップ=研修時間と位置づけ、経営からのサポートを明示することが重要

・言葉がバラバラになり、まとめきれない
→ 第1回で素材収集→第2回で整理・統合という分割型設計がおすすめ

実施後のフォローで“理念”が浸透する

・ワークショップで出たキーワードをポスター・日報欄・会話カードに展開
・「この言葉、今日の現場で活きたね!」という“具体化”の場面をSNSや朝礼で共有
・理念の“育て直し”は、ワークショップ後の運用が9割です

まとめ:理念は“共につくる過程”があるから、力を持つ

誰かが決めた“きれいな言葉”ではなく、
「私が言ったあの言葉が入ってる」「みんなでつくった理念だよね」と感じられるかどうかが、理念の浸透度を決めます。
施設の文化を育てる第一歩は、“言葉を共につくること”。
それが現場の行動と思いをつなぎ、“うちの施設らしさ”を育てる最短ルートとなるのです。

この記事の監修

ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。

東京港区のブランディングカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の13件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。