“入居者の満足”は“家族の安心”から始まる
入居している本人の快適さだけでなく、家族が「ここに任せてよかった」と思えるかは施設の評価に直結します。
特に、面会時の体験は、短い時間ながら強い印象を与える瞬間。
この“面会体験”をどれだけ丁寧にデザインできるかが、信頼構築の鍵です。
家族向け面会体験を向上させる接遇設計のポイント
01.面会時の「第一印象」をルーティンで整える
・来訪者には明るく、気持ちよく挨拶する
・名札・名乗り・案内の一貫性を全スタッフで共有
・「お母さまの様子、昨日は○○でしたよ」と一言添えると好印象
02.面会環境の空間デザインも“接遇”の一部と考える
・圧迫感がない広さ、落ち着いた照明、座り心地のよい椅子などを意識
・個室や半個室スペースを用意できれば、家族の“心の距離”も近くなる
03.家族の感情に寄り添った対応を心がける
・不安・後ろめたさ・申し訳なさを抱える家族も多いため、「いつもありがとうございます」とねぎらいの言葉を
・ネガティブな問いにも誠実かつ前向きに応答する姿勢を共有する
04.面会後の“余韻”をポジティブに演出する
・「今日はとても穏やかな表情でしたよ」「こんな一面もありました」と、小さな“発見”を共有
・短時間の面会でも「来てよかった」と感じてもらえる言葉が、次回の来訪につながる
接遇設計のよくある課題とその解決策
・受付や案内の対応にばらつきがあり、家族が不安になる
→ 対応マニュアルを整備し、ロールプレイ研修を定期的に実施
・他の家族と鉢合わせになり、気まずい雰囲気が生まれる
→ 面会の時間帯・場所を調整し、一定のプライバシー配慮を施す
・「質問していいのかわからない」空気感がある
→ 面会後にスタッフから「何かご不明点はございますか?」と声かけを徹底
まとめ:面会は“施設ブランドとの直接対話の場”になる
介護施設において、面会は単なる来訪ではなく、家族が施設の価値を“肌で感じる瞬間”です。
一つひとつの対応が、そのまま“印象”として残り、信頼・満足・紹介へとつながります。
「また来たい」と思える面会体験こそが、施設のブランドそのものをつくっていきます。
この記事の監修
ブランディング・ディレクター 豊田 善久
1979年生まれ、東京都出身。学校卒業後、印刷会社で現場を経験。広告代理店勤務を経てブランディング会社であるパドルデザインカンパニー勤務。病院、クリニック、介護施設、訪問サービスなど、医療・介護業界のホームページ制作やパンフレット、リーフレット、動画制作などに多数携わる。あらゆる業種・業界への企画提案経験をもとにお役立ち情報を発信しています。
東京港区のブランディングカンパニー
パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。